ユニオール皇国の状況調査
コンスタンとメンヒルトの結婚披露で、何人かの画家がそれぞれの持ち場で筆を走らせているのを見て安心していたが、後に見せて貰えばその腕前に驚いてしまう。
前世での花火にしても素人が撮影した場合には味気ないものになるが、そのようなことはなく、写実的であっても魅力が伝わるものであった。
「これならルグミーヌ国王達も満足して貰えるかな」
絵画のハポリエルの配達は一方通行であったので、そのお礼の手紙は馬による配達であったが、驚きと満足が伝わりメンヒルトも涙をこぼすものであった。
そしてその結婚披露で盛り上がった熱も冷め、テルヴァルデにも平穏が戻って来た頃。
「テルベルクのレナルマンからの手紙では、ユニオール皇国からの商人の話でますますきな臭くなっているとの話らしい」
「そうですね。皇都ナンテールに送り込んだ者達の報告、ハポリエル経由で届いたものを見ても、そのような話になっていますね」
「どうも武闘派が、穏健派の皇太子達の行動を弱腰外交と責め立てているようで。属国の戴冠式に皇太子が2度も行くなど、と」
「ちょっと。ラーフェン王国まで属国扱い?」
「自分たちがムスターデ帝国を追い出すのに多大な貢献をしたと思っているみたいね」
「ま、確かに皇国が軍を出したのが大きな力になったのは否定しないけれど、属国扱いは酷いわね」
「ま、本当の現地のことなんて皇都の住民や貴族達には分からないのだから、好き勝手に言った者勝ちなのかも」
「となると、武闘派の話の方が大国のプライドを保てるような威勢が良い話で、耳触りが良いのだろうね」
「でも、きな臭いという話になっているというのは」
「はい、武闘派が力で何かをする気配があるとの噂です」




