コンスタン結納3
テルヴァルデで、コンスタンとメンヒルトの新居になる屋敷の建築は順調に進んでいる。
ミュンヒ地方からの移民のためなど、もともと建築ラッシュで大量に来ていた職人達も少し仕事が落ち着きかけたところだったようである。
「王族が暮らす建物を一から作れると張り切っているようですね」
「あ、そうなるのか。この領主館はモーネが来ることを想定していたわけではなかったからね」
「コンスタンが暮らしにくくならないように、という注文はメンヒルト王女から出ているようなので、王城みたいな派手さは無いと思いますよ」
「それでも部分部分で職人が自分の最高級のものを作るのだよね。もしお金が足らないならば、結婚祝いで補填するから」
「大丈夫ですよ。コンスタンもたくさん稼いでいるのに使い道が無かったタイプですから」
いつもの御用商人のアナトマにもすぐに連絡をとり、緑龍魔術師団の深緑色のローブの発注や、結婚披露宴の準備などを頼んである。
「いや、おめでたいお話ばかりですよね。さすがは新興のテルガニ侯爵家の皆様。勢いがありますね」
「いつもお世話になりますね。で、もう一つお願いがありまして。画家の手配は可能でしょうか?」
「あ。確かにこの街には居ないですね。何かと機会があったはずですのに」
「今回の結婚披露、メンヒルト王女は家族に見せることができないので、絵だけでも届けて貰おうかと」
「それは素晴らしいお話ですね」
前世では写真が簡単に撮れていたのだが、この世界では画家が必要と今さらに思い至ったのである。王都ミューコンでの新国王の戴冠式で何人もの画家が仕事をしていたのを見たことも理由である。
そして、アルマティにはその関係の仕事も頼んである。




