コンスタン結納2
「じゃあ、次は≪豪炎≫と≪火槍≫、そして≪炎壁≫を」
アルマティが出発した後は、残された魔術師団員達に魔法の指導をしているジェロ達。
今は重臣となったリスチーヌ達に魔法を教えた後は、王都ミューコンの魔術師団員達に上級や王級魔法の実演をすることでしか指導をして来なかったジェロ。
今回も、変な癖をつけてアルマティを困らせたくないという言い訳で、同様に実演のみを行うつもりである。
このテルヴァルデに来た彼女達も、中級魔法までしか習得していなかったようで、上級や王級魔法の実演を見られることは良い勉強になると喜んでいる。
「当代一番の魔法の使い手であるテルガニ侯爵のもとに来た甲斐があります」
なぜか一緒に来ているアラトラス。ジェロの様子を見ていたが、少し前に出てくる。
「ふむ。実演だけで良いならば我も協力をしよう」
「良いのか?」
「同じ魔術師団員の仲間ということになるのだろう?」
「そうだな」「みんな、第2隊の隊長のアラトラスも上級魔法の実演をしてくれるそうだ」
「本当によろしいのですか?本当に、あの魔人が同僚ということですか?」
確かに、元々は伝説の災害のような存在であった魔人。実際に敵のムスターデ帝国が使役することで被害を受けた話が各地に伝わっている。
その魔人が、テルガニ侯爵家では味方であるばかりか、すぐ身近な同僚になったというのは、なかなか感覚的に受け入れられないのかもしれない。
「見た目は怖いかもしれないけれど、こうやって良い人だよ。みんなもしっかり指導を受けるようにね」
リスチーヌが同じ女性として話を聞いて貰いやすいはずと声をかけている。
「アラトラスが敷居を下げておいてくれると、ネベルソンやアバドンもやりやすくなるだろうから頼むな。まぁ、本人達次第でその努力も無駄になるかもしれないが」
「うむ。まぁできることはしておいてやろう」




