コンスタン結納
「では、行って参ります」
緑龍魔術師団の体制もある程度は整理ができたので、アルマティがルグミーヌ王国に向けて出発することになる。
「お願いしますね」
アルマティは、コンスタンからという名目のドラゴン素材の結納はもちろん、メンヒルト、義理の息子になるコンスタン、受け入れることになるこの土地の当主であるジェロそれぞれからの手紙も届けることになる。
予定通り、魔人のネベルソンとアバドンの2人も一緒に≪飛翔≫で向かう。
「2人もしっかり頼むね」
「あぁ。あいつは俺たちより強いから何もすることは無いだろうに」
「女性の1人も守れないというの?」
憎まれ口のネベルソンに、リスチーヌが叱りつける。
「長旅だと何があるかわからないだろう?上手く宿屋に泊まれると限らないし、宿屋だからと言っても女性の1人旅と思われたら危険だろう?だから頼むよ」
ジェロからも2人には頼んでおく。
「女性への気配りくらい、この旅で覚えてくるのだぞ」
アラトラスの発言を聞く限り、彼はもしかすると妻も居るのかもしれない、と思ってしまう。
「ん?いるぞ。今回、魔人村に妻も子供も受け入れて貰っているぞ。だから、少しくらいは恩を返そうと思っている」
まさか魔人にまで自分の思考を読まれるとは思っていなかったジェロ。そしてその事実にも驚く。
「ネベルソンって、以前にミュンヒ地方への潜入をリスチーヌとやったよね」
「ジェロ様、ご存じのように彼は変わりませんでしたよ」
「じゃあ今回も……」
「アバドンという比較対象がいれば、少しは期待したいですね」
裏ミッションは達成できると思えないながらに3人は出発していく。




