侯爵軍魔術師団
想像通りコンスタンの両親は驚いて、特に母親は腰を抜かしてしばらく立ち上がれなかったという笑い話を聞いたジェロ。
「隣近所からも、あの出来の悪かった息子が何をやらかしたんだ、という感じで覗き込まれていました」
「え?でも、テルガニ侯爵家の将軍になっている話は伝わっていないの?」
「眉唾と思われていたのかと。ガニーの英雄のテルガニ侯爵。その重臣に?あの力しか自慢できるものがなくて冒険者になった子供だろう?という感じで」
「よし!じゃあ、実家の周りの人も呼んだ結婚披露にしよう。コンスタンがワイバーンのルッツに乗って登場したり、土魔法を発動させられることを見て貰ったり」
「ジェロ様、悪ノリしないで!」
「いいえ。コンスタン様の立派なところをぜひ皆さんに知って頂きたいので、精一杯に派手な披露宴にしましょう!」
メンヒルトも派手なものを望むのであれば、とコンスタンは少人数で静かなものを希望したことを口にできないようである。ただ、そのメンヒルトの気持ちに感謝すると共に、その勢いを微笑ましいと思っている感じでもある。
ジェロは、前世で「結婚式は新婦の希望に合わせるべきだ」と言われていたことを思い出して苦笑いする。
「では。コンスタン達の結婚披露の準備、新居になる館の準備はマドロールと進めますね」
筆頭家臣であり家宰のイドがまとめに入ってくれる。
「お願いね。で、アルマティには魔術師隊の整備をお願いしたいんだ。で、その目処が経てばルグミーヌ王国に飛んで貰えるとありがたい」
「なるほど。承知しました」
出身地の王家に対する使者として自分が選ばれることも含めて、何かと理解したという感じである。
奴隷ではなくなり自分の意思で色々と考えるように言ってはあるが、元々の頭の良さもあり、口数は少ないが言外のことも理解してくれているようで助かる。




