コンスタン結婚準備3
「コンスタン、大丈夫かな?」
「ジェロという貴族の家臣に、というときも、すごかったわよね。力しか自慢するものがなかったのに読み書きや魔法を教えてもらい、さらに家臣になんてとひざまずく感じで」
「ヴァルにも分からないかもしれないけれど、普通の一般人は貴族なんて会話の機会もないし、その家臣になるなんて冒険者からは大出世なのよ。ジェロ様みたいに本人が侯爵様にまでなってしまうなんてありえないのだから」
「あら、リスチーヌなんてその侯爵の夫人でしょう?」
「ヴァルも言うようになったわね」
前世では貴族とは縁がなかったこともあり、感覚が違う認識はあるジェロ。
また、彼女達の会話を楽しそうに見ているのは、生まれたときから王女であったモーネ。彼女はまた違う感覚で2人の会話を聞いているのであろう。
「ジェロ様もモーネ様も人ごとみたいに!」
夫婦4人だけでの、夕食後ののんびりした時間である。
「いや、ごめん。メンヒルト様も一途だったよね。いくら物語のような出会いだったからと言っても」
「その想いが叶ったのですから。きっとコンスタンの家で驚かれることも、ご自身が一般家庭を見て驚くのも良い経験と楽しんでいると思いますよ」
「それで、各国への連絡はモーネ様にお願いするとして、ルグミーヌ王国にはどうするのですか?」
「コンスタンの気持ち次第だけど、俺と2人が行くのが却下されるならば、出身者の重臣であるアルマティにドラゴン素材を持って行って貰えると良いな、と思っているよ」
「なるほど。彼女ならば、皇国で何かあっても早く戻って来られますしね。でも、メンヒルト様について来た近衛魔術師達の編成はどうします?」
「その段取りをしてから行ってもらうことになるかな。彼女1人では万が一のときに怖いし、魔人のネベルソンなら≪飛翔≫もできるから同行を頼みたいな」
「ネベルソンはぶつぶつ言いそうだけど、私が叱りつけるわよ」
相変わらず彼には厳しいリスチーヌである。
「ついでに、アバドンも視野を広げるために同行させたら?アルマティの指導力の育成になるわよ」
ヴァルの理屈もわかるが、アルマティの苦労を想像してしまうジェロ。




