思わぬ来訪者3
メンヒルトがコンスタンへ、実質の求婚と思われる発言をしたのだが、メンヒルトと同行してきた女性陣に驚きの顔はない。あらかじめ認識していたのか。初耳だったとしたら、とんでもない無表情能力である。
「このことは父、ルグミーヌ国王も了承しております」
「メンヒルト王女、すみません。まず席にお座りになってください。そして落ち着いてお話をさせてください」
「そうですね。わかりました」
そうは言うが、メンヒルトは元々の上座に戻る気配はなく、コンスタンの近くに椅子を用意させて座る。
戸惑うジェロ達の様子を面白がるように事情を説明するメンヒルト。
今、ムスターデ帝国にまともに対応できるのはユニオール皇国でもない。もちろん、ラーフェン、ベルカイム、コンヴィルのどの王国でもない。テルガニ侯爵のみである。
それは各国の共通認識である。
それもあり、各国はテルガニ家を血縁などで取り込む努力を行っている。しかし、帝国と接するのにルグミーヌ王国は出遅れている。
新たに縁を結ぶにも、当主であるジェロには新妻3人がいる。今さらそこに王女をと言っても、コンヴィル王国のように断られるのは明らか。
領地を与えて爵位を、と言っても各国と違い今の領地と遠い場所になってしまうので現実的ではない。
当主との縁は無理でもと確認すると、重臣で未婚者なのは将軍であるコンスタン。過去に縁もあるのと、王女本人も望んでいるので勝手な駆け落ちでもない。
そこまでの説明を終えたメンヒルトの顔を見る限り、きっとルグミーヌ王国で説得したのは本人なのだと理解する。




