思わぬ来訪者2
「メンヒルト王女!突然のご来訪、驚きました!」
あまり近くの上空を飛ぶと失礼になるかと思い、早めに地上に降りた後にメンヒルトのところへ駆け寄るジェロ。ヴァルとリスチーヌも同行している。
「テルガニ侯爵、突然で申し訳ありません。でも、お伺いする旨はお話ししていたかと」
「え?いや、そんな」
確かに戦争も終わったのでラーフェン王国経由でも移動して来られる、歓迎するという会話をした記憶はある。
「このようなところで立ち話もなんですし、どうぞこちらへ」
リスチーヌに背中を突かれて我に返ったジェロが王女を屋敷に案内する。
自分の馬車を降りてテルヴァルデの街を見渡していたメンヒルトの周りには馬車が何台もあった。
しかし、目に入るのは女性ばかりである。
「今回、トリアウエ騎士団長はご同行されていないのですか?」
屋敷で一番綺麗な応接セットのある場所の上座にメンヒルトを座らせて、会話を再開する。
「はい。今回は侍女を含めて私についてくるという者だけで」
「いくら戦争が終わったと言っても、女性だけでの長旅なんて」
「あら、我が国は魔法王国。女と言ってもそれなりの使い手達がおりますのよ」
「はぁ。でも、お帰りの際にはちゃんと護衛をつけさせてくださいね。うちに来られた帰りで何かあるかと不安で仕方ありませんので」
「あら、戻るつもりはありませんのよ」
「え!えぇ?」
同席していたコンスタンの席の近くまでメンヒルトが移動してくる。
「コンスタン様。ここで一緒に暮らさせてください」
「「えぇ!」」
今度はコンスタンを含めた複数人の驚きの声が上がる。




