ユニオール皇国の噂3
「わかりました。ユニオール皇国の皇都ナンテールに向かわせます」
マドロールは、各国からの密偵の対処をしたこともそうであるが、裏部隊をどこまで育てているのであろうか。他からの密偵対応などの裏仕事のために、通常の衛兵とは別部隊を預けているとイドからは聞いていたが。
「必要な経費は使ってくれたら良いからね」
「はい、それは日頃からイド様に許可をいただいていますので」
イドの方を見ると、許可はしているがどのくらい使っているかは分かっていなさそうで、少し目が泳いでいる。
「あ、マドロール。皇都ナンテールにある家を使って貰うようにしてね」
「良いのですか?」
「ヴァル。ハポリエルに頼んだら、あの家と手紙のやり取りはできるよね?」
「なるほど。ジェロ様、それでしたら、皇都ナンテールだけでなく、ラーフェン王国の王都ジークセン、ベルカイム王国の王都ルージャンにも拠点を調達してください」
「え!まぁ、そうなるか。確かにコンヴィル王国の王都にはクシミール達のいる屋敷もあるし、ルグミーヌ王国は急がないか」
「はい。モーネ様のお手紙を届ける騎兵達も行き先の王都に拠点がある方が便利ですし、今回のユニオール皇国のことを踏まえると、この2カ国の王都には。そもそもジェロ様はそれぞれの侯爵ですので、王都に屋敷があるのも普通です」
「ジェロ様、ドラゴン素材のお金があるから、資金の心配はいらないですよね?」
リスチーヌも、自分の趣味でものを揃えたいのか前のめりに食いついてくる。
皇都ナンテールで拠点を調達することになったときを思い出してしまう。




