ユニオール皇国の噂
テルシュタットに作ったダンジョンからテルヴァルデに戻ったジェロ。
そこへテルベルクのレナルマンからの書状が届いていた。
「え?あっちには何もしていないはずだけど」
「何か自分が悪いことをしたと、すぐに考えないの」
ヴァルに叱られながら書状を開いてみる。
「ユニオール皇国の中で何やらきな臭い感じが、って連絡だった」
「この前にリスチーヌも言っていた、文官系の皇太子と武官系の第3皇子の関係かな」
「普通に考えるとそうですよね……」
「大国が風邪を引くと近隣の小国にも影響がありますからね……」
妊娠が発覚してからは部屋にいる時間が増えたモーネにも情報を共有しに来たジェロ。
「真実を確かめるにも、私達では情報はそれほどつかめないですよね。ラーフェン王国とベルカイム王国とも連携をしましょう。それぞれに私から手紙を書きますね」
「あ、モーネからならば話が早いよね。助かるよ」
ラーフェン王国のルネリエル国王、ベルカイム王国のヒルデリン国王がそれぞれ叔父、実弟であるモーネからの手紙であれば不自然さは無い。新婚旅行としてのコンヴィル王国、ルグミーヌ王国への挨拶や、コンヴィル王国の新国王の戴冠式への参列のことなども世間話のように既に連絡をしているからである。
「時候の挨拶や妊娠の報告と併せて、ユニオール皇国の噂についても触れておきますね」
外交組織のない侯爵家では、モーネの手紙を届けるのは騎兵の仕事になっていた。
日頃の手紙程度であれば、選ばれた兵士はお小遣いを与えられた旅行気分になるとのことで人気であるらしい。
騎兵を率いているヤーコプ・ヴォイトの話であった。
「いつもは2人組で行っているのですが、今回は念のために3人組にしておきますね。それぞれの王城で、少し奥まで進んでも失礼がないように隊長格も派遣します」
ヤーコプなりに状況を踏まえた判断をありがたく思う。




