魔人の村長3
「事前にお話ししていますように、この村で暮らすにあたって必要な物資はテルヴァルデなどから運び入れます。ネベルソンがやってくれています。皆で暮らしてみて不足するものがあれば遠慮なくご指示ください」
「ありがとうございます」
「また、この村から出ていくのも自由です。知られると問題になりそうな角さえ上手く隠してくれるならば、冒険者になるなど自由に活動して貰ってもいいです。ただ、この村の存在はできるだけ隠して貰う方が良いかと」
「それはその通りですな。外に出たいというものには試験をすることにします」
村長ダルカイムとの話し合いはすんなり進んでいく。事前にアラトラス経由でも話が伝わっているからここに移民を決めたはずであり、そのあたりでの問題は無いようである。
「で、そのご夫人との間のお子さんというのは?」
「あ、それはまだ。まぁそのうちに……」
「なるほど。我々の村に伝わる精のつく食べ物などを紹介しましょうか?」
「いや、それはまたで」
真っ赤な顔をして断るジェロを見て、そういう男なのだと村長にはバレてしまったようである。
「そういうことですか。クリノームやベルフールたちが奴隷になった後も、特に何をされることもなく、王族のお世話だけを命じられたと聞いていましたので」
ヒルデリンの世話を頼んだ女魔人の二人のことを思い出すが、特にクリノームの口の悪さから、彼女とどうこうなるとは想像がつかず身震いをしてしまう。
それにも気づかれたようで、ダルカイムは笑顔になる。
「良き領主、良き隣人のようで安心しました。これからも末永くよろしくお願いします」
「いや、こちらこそ。ムスターデ帝国側から手強い集団がいなくなったことだけでも安心です」
「いやいや、その魔人をものともしなかった方が何をおっしゃいますか」
「そんな……」
言葉の駆け引きが苦手なジェロはダルカイムに遊ばれているようであるが、悪い気がするやり取りではない。




