魔人の村長2
最後に運搬した老人の中の1人が長のダルカイムであると名乗り出てくる。
「これはご丁寧に。私がジェロマン・テルガニです」
「我ら魔人が安心して暮らせる村を用意いただけたこと、感謝します」
「いえ。今までははからずも敵対することがありましたが、この村人たちを人質にするムスターデ帝国と決別いただいたことで、これからは仲間になっていただけるのかと」
「はい、こちらもそう望むところですが、もしもあなた方もこの者たちを人質にするとなれば……」
「ははは。そう思われても仕方ない生活を送られて来たのかと。信頼はこれから勝ち取って行かせていただきますね」
「村長!こいつは、この女悪魔を妻にするって言っているんだぜ。子供が生まれて、その子孫がこの村で暮らせるようにって」
「アバドン!失礼だぞ。このテルガニ侯爵に害意がなくても、後世では相続争いなど何がきっかけでどうなるか分からないという話をしているのだ」
「うへ。ごめんよ……」
「領主殿、村人が無礼なことを申しました」
「いえ、大丈夫ですよ。彼の性格はもうわかっていますし、似たようなネベルソンとはもっと長い付き合いですし」
「はぁ……お前達!魔人の我ら全員が礼儀知らずと思われるだろうが!」
「まぁまぁ。人間にも礼儀正しい者もいれば、そういうことができない者もおりますので」
「ところで、子供達が手にしているあれは?」
「あぁ、孤児院の子供達に喜ばれるおもちゃですよ。だめでしたか?」
「いえ、ありがたいことです」
「私も孤児院育ちなので、子供達が喜ぶ顔は嬉しいのですよ」
「そうでしたか」
魔人達に竹とんぼは伝わっていないようで、その面白さに子供達はハマっている感じである。




