魔人の村長
テルヴァルデの領主館からドラゴンが飛び立つ際には、その付近に夜霧が立ち込めたので、背中に何かが乗っていることは誰にも知られずに上空まで登ることができた。
その後は、東方にある魔人村の方に真っ直ぐに進むのではなく、どちらかというと南方のテルシュタットの方に向かったように見せかけておく。
そして、テルヴァルデの方からドラゴンの姿が見えなくなったはずのあたりで少しだけ東に進んだところの森の中に、背中の魔人たちを降ろす。
同じように領主館から全ての魔人を乗せて運んだ後は、その中間地点から再び別の中間地点、ラーフェン王国との国境付近まで運んで、最後に魔人村に運ぶという念には念を入れた運搬方法をとった。
「もうフードを外していいぞ」
目的地の魔人村に到着したところで、ドラゴンの背中から降りてきた子供達に声をかけるジェロ。
「わぁ、新しい家だ!」
「えー、もう降りるの?またドラゴンに乗りたい!」
種族が違っても子供の無邪気さは変わらないようで、逆によくここまで我慢したと思えるほどである。
ジェロは魔法の収納袋にしまっていた、彼らが移動する際に使用していた荷馬車なども村の広場に広げていく。
「じゃあ、残りの人を連れてくるね。村から出ないようにしてね」
孤児院で子供に配っていたようなお菓子とおもちゃを渡して、残りの移民の運搬を再開する。
「これで最後かな」
「あぁ、誰もドラゴンから落ちることもなく、無事に到着したようだ」
「おい、アバドン!」
「冗談だよ」
「改めて挨拶をさせて貰います。この魔人たちの長のダルカイムです」




