魔人達の到着3
テルヴァルデにはあちこちからスパイが潜り込んでいる可能性がある。
そのため、特に魔人の村の存在とその場所を誰かに知られるわけにはいかない。
「コンスタン、ありがとう。すっかりジョエルたちも懐いているな」
「そんなことはないですよ。でも良かったんですか?ドラゴンを3体もここに呼んで」
「良いと思うよ。あとでマドロールに怒られるかもしれないけれど……」
コンスタンはそれを想像したのか少し背中を走るものがあったようであるが、そこは無視する。
「で、アラトラス。荷物は魔法の袋に全部入れるから、≪飛翔≫のできない者達をこのドラゴンの背中に乗せて運ぼうと思うんだ」
「流石はガニーの英雄殿だな。まさかドラゴンをそのように使うとは」
「いくら闇魔法の≪大夜霧≫などで目眩しをするとしても、一気に村の場所に連れていくと何かで見つかるかもしれないよね。この屋敷から別の場所を経由して移動するからね」
「なるほど。≪飛翔≫ができる者は念のために近くをついて行けば良いか?」
「そうだね。そうお願いするよ。何往復かすることになるしね」
アラトラスは魔人たちの中でも信頼をされているのか、彼が説明をすると、不安がっていた女性陣なども最後はその移動方法に理解を示したようである。
「じゃあ、まずは適当な森の中との往復だね。ジョエルたちもよろしくね」
従魔であるドラゴンのジョエル、ティティ、レミの背中に、魔人でも戦闘力はなさそうな女子供や老人を次々と乗せていく。
「俺はこっちの人たちの周りにいるからな」
「あぁ、アバドンはそうしてくれ」
変なことをするものはいないはずと思っていても、万が一のこともあるので、戦闘ができる者は手分けしておいた方が良いだろう。




