魔人達の到着2
「まさか普通の街道を通ってくるとは」
「しょうがないだろう。魔人と言っても全員が空を飛べるわけではないのだから」
面会のための部屋に案内されていたアバドンに会っているジェロとヴァル。
「で、どうしてお前が来たんだよ」
「領主と面識がある魔人って限られるだろう?アラトラスはそんなことは面倒だ、皆を守る方にって言いやがるし」
「確かにお前が残っていると、他の冒険者たちと喧嘩しそうだからな」
「なんだと」
「まぁ良いか。皆がテルヴァルデに到着したのなら、魔人村に移動するのももう少しだな」
「今度は荷馬車とか多いし、空も飛べない奴が多い。他人に知られないように俺たちの村に移動するのはどうやるんだ?」
「うーん。ま、何とかできると思うよ」
ジェロは魔人たちの集団のところに案内されると、確かに皆がみすぼらしいフードをかぶっていて、単なる避難民の集まりにしか見えない。角はうまく隠されていて、魔人と気づくものもいないだろう。
「アラトラス!」
「来たぞ。これが最後の集団だ。女子供、老人が多い」
「みたいだな。ここにいると、他の旅人たちが気にするだろう。いったん移動して貰って良いか?」
ジェロは自分の屋敷の庭にまで荷馬車や徒歩の魔人たちを連れていく。
「ここでも外からの目があるだろうし、まだフードはあげないで貰った方が安全だ。でも、まずは食事をしっかり取ってもらおう」
屋敷の従業員に、誰もが食べやすいスープなどを大量に用意させて、一息をつかせる。
「で、どうやって他人にバレないように移動するんだ?」
「まぁ、もうちょっと待てば来るよ。って、ほら、コンスタンが連れて来てくれた」




