テルベルクの様子3
「リスチーヌも色々なところに気がまわるようになったな。俺も負けていられないな」
元々は“ジェロ班”の頭脳担当であったレナルマン。
「このテルベルクは、ベルカイム王国の国内にあるし、一番ユニオール皇国に近いのだからな」
「レナルマンも気張りすぎないでね。まずはこの村を街にする開拓を進めてくれたら良いだけだから」
「はい、立地のおかげで、勢いがつけば勝手に人の往来は増えて栄えていきますよ。ただ、人の出入りが増えると犯罪が起きたり、各国のつまらないのが出てきたりしますので」
「そもそもベルカイム王国の官僚達とも仲良くしないといけないものね」
「魔術師団のプランケット団長が力を持ったままだと、それはそれで政治的にもある意味で安定ですが、幼い女王と国王が成長するまでの間には色々と政治闘争がきっと発生しますよね」
「うわぁ、考えるだけで面倒な感じだね」
「ラーフェン王国もそうですが、一度は帝国に完全占領されて国家中枢がリセットされましたからね」
「ラーフェン王国の場合、ルネリエル国王が元々騎士団長として国家の中心にいらした大人ですからまだマシかと。ベルカイム王国の場合、ユニオール皇国の属国のようなものだった上に、女王と国王が幼いですから」
「ヒルデリン様には苦労して欲しくないですが、魔人のクリノームとベルフールがいるので身辺周りは安心ですよね」
「政治のことは教えてあげられる人は身近にいないよな……」
「ジェロ様、ヒルデリン様のことよりもご自身の領地経営も大事ですからね」
「う、うん。そうだよね。きっとあっちには色々できる官僚達もいるだろうし、自分のことをまずやらないとね」
「そうですよ!」
せっかく見に来たので、魔法による開拓や整備を少し協力してから、テルヴァルデに戻るジェロ。
その頃にはユニオール皇国のことはすっかり頭から消えていた。




