ダンジョン作成準備
「それこそ前にもお話したように、モージャンの近くにオークダンジョンを作ったのは、村に伝わる秘宝を使用したのですよ。一応、今回の魔人村を作ってくれることに対して、一つくらい譲っても良いと言質は貰っていますが」
「魔人村のことを引き合いに出さなくても、対価はしっかり払うから。何が欲しい?」
「まずは村の安全でしょうね。ただ、あなたならドラゴン素材も大量に入手できると聞きましたし、皆がここにたどり着いてから相談しますよ」
ダンジョンを作れる見込みができたので、実際にテルシュタットに向かうことにする。
「え?」
ジェロが驚いたのは、テルヴァルデの街からテルシュタットの間の街道のことである。
「昔は、廃村とガニーの間には単なる山脈だったのに……」
それを自分達が何度も往復して、まずは戦馬ならば行き来しやすい程度にするように道を切り拓いたものだった。
今は馬車も何とかすれ違うことができるくらいの幅の街道ができている。
「流石にこの斜面を普通の荷馬車が越えるのはしんどいだろうけれど、もう普通の馬ならば余裕で行き来できるな」
「テルヴァルデとテルシュタットで、力のある戦馬の販売や貸し出しをすると人気が出そうね」
「そうだな。ヴァルもそういうことを言うようになったんだな」
「まぁ、領主の妻という立場ができたからね」
微妙に照れくさそうなヴァルも可愛いものである。
そして、その山脈を通る街道の上空を≪飛翔≫で南下してテルシュタットにたどり着く。
「これが、あの廃村?」




