魔人村の進捗2
大工のアリオクを手伝っていたはずのアバドンだが、職人たちがある程度来たので、少し暇になっていたらしい。
周りの森の魔物を狩るなどはしていたが、ネベルソンのようにテルヴァルデとこの魔人村との資材の往復にはあまり力を発揮できるタイプではないらしい。
「じゃあ、帝国から移住してくる村人たちの手伝いに行くか?」
「いや、そちらは」
「そうか、アラトラスがやってくれているはずか。だが、人手はあった方が良いのではないか?子供もいるのだろう?」
「お前が許可するのならば、行ってもいいぞ」
確かに、アラトラスが責任を持ってここを手伝うように指示していたことを思い出す。
「アリオク、もうここにアバドンはいなくても大丈夫か?」
「あぁ。それよりも子供たちを手伝いに行ってくれると助かるだろう」
「じゃあ、アバドン。アラトラスたちの、引っ越しをやっている仲間を手伝いに行ってくれるか?」
「お、おぅ、任せておけ」
『癖はあるけれど、悪い奴ではないようね』
ヴァルも苦笑しながら念話をしてくる。
「アリオク、物資は足りているのか?困っていることは?」
「ネベルソンが食料などを持ってくれていたし、特に。戦争などに次々と仲間を派遣することになって人手不足になったときに比べたら、贅沢なほどだ。住む家もこうやって順次作っているからな」
「ほぉ、建物だけでなく、家具や食器なども」
「あぁ、鍛冶職人も来たから、色々な道具も作れるぞ」
思ったより魔人の村の開拓は進んでいたので、さらに土地を広げた方が良さそうである。
先発隊のアバドン達に話を聞いて、追加で森の木々を倒して平地を広げていると、そのうちにネベルソンがやってくる。
「おい、おい。あんた、テルヴァルデに帰って来たところだろう?早速そんなことばかりやって」




