フェリック戴冠式の後2
「ジェロマン、今回は助かったぞ」
フェリックは戴冠して国王になっても、ジェロに対して親しさを変えないという意図なのか、名前呼びを変えない。
モーネと共に案内された部屋には、新国王のフェリックだけでなく、宰相クリスタン・ボーヴリーと騎士団長エクトビ・ニーシヨン、そして魔術師団長ジルベール・ラロシェルが同席していた。
「我々の団員も反応ができなかったことへの対応、そしてテルヴァルデでも拝見したあの火魔法は見事でした」
ラロシェルからの言葉ではあるが、その横でニーションは苦々しい顔である。
「いえ、皆様もご無事で何よりです」
「で、ジェロマン。あれらは何だったのだ?」
「はい。いつまでも続けたのは、火魔法を工夫して綺麗なものを発動するものです。私、そして近くを待機していた仲間に続きをして貰ったものは、決して危険があるものではありません」
「ふむ。確かに昼間であれならば、夜にはもっと期待できるものであったな」
「ありがとうございます」
一息ついた後、パレード中にヴァルから貰った念話の内容を含めて説明をする。
「最初の不埒者のことですが、可燃性の液体を込めた瓶に火をつけて投げ入れたもののようです。左右から1人ずつおりました。共に私の仲間が取り押さえ、隠し持っていた予備も確認しました」
「ほぉ、そいつら2人は今どうしている?」
「自害をさせないように猿くつわをさせて、共に縛りつけたままにしております。装備からは所属を確認することはできていないようです」
「ジェロマン、パレードに参加していたはずなのに手際も良いし、そこまで仲間と情報共有するとは……まぁ良い、良くやった。その2人はこちらに引き渡すように」
「承知しました」




