フェリック戴冠式3
最後尾で気楽と思いつつ、ドラゴンに騎乗しているので、住民達からの目線を集めてしまう。さらに美女で有名なモーネ王女が隣にいるので、余計である。
「ジェロ様、大丈夫ですか?」
そのモーネの気遣いもありがたい。
「うん、なかなかこの多くの人の目線っていうのに慣れなくて」
「普通ならば、仕方ないですわ」
生まれた時から注目されてきたモーネは、逃げることもできなかったはずで、そのような弱音を言うこともできなかったのだと思うと、自分はまだマシと割り切れる。
「主役でもないし、後ろの方で護衛の役割と思うことにするよ」
「このような戴冠パレードで何かをするとは思えないのですが」
「普通はそうだよね。イタズラ程度の気持ちならば絶対にやめた方が良いよね」
「ということは」
「そうだね、何かとコンヴィル王国が鬱陶しくなったムスターデ帝国くらい強い思いで嫌がらせをしてくるなら……なんて変なことを言うとフラグが」
「噂をすると影ということですか?」
「やばい!」
余計なことを考えてしまったと思ったジェロ。
『ジェロ!左から!』
ヴァルからの念話が飛んでくる。そちらを見ると、確かに大きめの建物の屋上を走る者がいるようである。
「あ、何か投げた!」
まずいと思い、モーネのことを忘れたまま1人で≪飛翔≫で飛び出し、≪結界≫を発動する。
前世での手榴弾というより、瓶に可燃性の液体を充填した火炎瓶のようなものであったようである。
元々は警備の厳しい新国王ではなく、その後ろの王国幹部のあたりを狙ったようで、魔術師団や騎士団はそれに反応ができていなかった。
『ジェロ、今度は右から』
確かに右手にも走って何かを投げる者が見えた。




