フェリック戴冠式
コンヴィル王国の貴族や各国の列席者と挨拶を交わした晩餐会であったが、最後の皇国の外交官の口調で気分が悪くなっていたジェロ達。
翌日の戴冠式に向けて早めに解散となったので、そのまま屋敷に戻って休むことにする。
「他国に対して、舐められないように上位から接する外交手段は存在するでしょうけれど、おそらくその外交官自身の能力が低いので国の威光だけで対応するタイプなのでしょう」
執事のクシミールが気にしないように、と言ってくれる。
「彼の国も大国になっての歴史が長いので、個人の能力ではなく血筋で役職を得ている方々も多いでしょうから」
「明日も早いので、どうしようもないことは忘れて早く寝ましょう」
流石のモーネの言葉で、早々に床についてしまう。
「では、本日はジェロ様とモーネ様がドラゴンのジョエルに騎乗するということで」
「ま、招待された侯爵家の夫婦2人となるとそうなるわよね」
コンスタンとリスチーヌの言葉である。
「私達は少し離れたところを飛んで、護衛という体で様子を見ておくわ」
ヴァルも協力してくれるようである。
この日は、再興に協力したり姻族だったりしたラーフェン王国やベルカイム王国の戴冠式とは違い、単なる新興貴族の立場であるので、テラスから国民への挨拶などのイベントへの同席までは呼ばれていない。
「モージャン子爵!」
同じく戴冠イベントそのものには呼ばれても、幹部ではない領主達も待機場所にいた。
「これは、テルガニ侯爵」
「ニースコン男爵、それにガニー男爵も」
「なんだかんだと近所だと色々な話題が尽きなくて集まってしまうのですよ」
「そういうものですか」
隣にいるモーネと一緒に、近隣領主との会話に混ざるジェロ。




