ルグミーヌ王太子2
妹が他国貴族の家臣である一般人に熱をあげていることを気に入らないのだろうか、とルグミーヌ王太子の言葉の裏が気になるジェロ。
「これは失礼しました。決してそれを好ましく思っていないわけではないのですよ。妹には自由にさせてやりたいと思っております。王族の苦労など、あとを継ぐ私だけで」
「殿下!」
先ほど最初に挨拶の言葉をくれたあとは隣で待機していた男性が、王太子を止める。
「そうですな。口は災いの元。この辺で。また妹をよろしくお願いしますね」
「はい、またお会いする機会がありましたら、お世話になると思います」
「いや、その反対になると思いますが。まぁ結構です。よろしくお願いしますね」
王太子が去って行った後にも疑問が残る。
「ヴァル、どういうことだと思う?」
「さぁね。色々と考えているみたいだけれど。まぁなるようになるわよ」
「ジェロ様」
疑問が晴れないと思っていたところへ、モーネとリスチーヌが戻ってくる。
「あ、モーネ。今、ルグミーヌの王太子ハンネローレ王太子とお話していたんだ」
「今回にお邪魔したときにはお留守でしたよね。ここに向かっていたのですね。もし機会があれば、ラーフェン王国から帝国を追い出すことへのご協力のお礼を申し上げないと」
「妹メンヒルト殿下のことをよろしくと言われたのだけど」
「妻に、という話でしょうか?」
「いや、そんな感じでは」
「ジェロ様の感覚では……ヴァルもそう思わなかったのね」
リスチーヌが失礼なことを言うが反論する根拠がない。




