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転生プログラマーは結婚したい  作者: かず@神戸トア
目立たないギルド裏方

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贋金検知

 ここはコンヴィル王国の王都から離れた地方都市ガニーの街の冒険者ギルド。荒くれ者達が集う場所であり、今日も才色兼備の受付嬢が様々な業務を行なっている。


「へぇ、コレットさんって言うの?こんな受付の人で良かった。この街は初めてで。で、これが依頼報酬ね」

「はい、お預かりします。コンヴィル王国ではなくルセルニア王国の貨幣ですね」

 ご多分にもれず美人のコレットが、預かった貨幣を載せたお盆を持って後方へ振り向く。

「ジェロ、新しい依頼。これ“特に”お願いね」

「はい、承知しました」

『ねぇねぇこれって』

『ヴァルは黙っていて』

 ジェロの顔程度の大きさ、コウモリのような翼が背中にあり両こめかみの上に角がある美人がジェロの肩付近に浮かんで話しかけているが、誰も気にしていない。ヴァルはジェロ以外に見えないのと、二人の会話が声に出ていない≪念話≫だからである。


 ジェロは表から見えない場所で、貨幣を秤に載せたり水に沈めたりして確認をする。ガニーの街の冒険者ギルドには各国の各種貨幣が複数枚ずつ準備されており、いくら他国貨幣といえども比較により贋金を発見できる準備をしているのである。もちろん鑑定魔法が使える者も裏方には居るが、受付嬢の感覚やジェロの検査で分かる範囲ならば魔法を使うまでも無い。

 ジェロは預かり金額を記載した“赤線の入った”用紙をコレットに渡すと、コレットは頷き、依頼者に話しかける。

「ご依頼、誠にありがとうございます。こちら預かり証になります。本日は特別に応接室へご案内させていただきます」

『やっぱりそういうこと?』

『だから静かに』


 これ以上は同じギルドの裏方でも肉体派の仕事になる。事務職員、頭脳派であるはずの自分にはこれ以上は関係ないとジェロは割り切る。

 前世での貨幣への信頼感がこの世界では通用しないと溜息が出る。


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