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恋愛模様  作者: 奈月ねこ
10/19

新年

 私と亮平はテレビを見ていた。だらだらと飲みながら。そして除夜の鐘が鳴る。少し遠いが古くからのお寺があるので聞こえるのだ。

 私達は同棲している。もう三年になる。居心地は良いが、この先を考えなくもない。このまま同棲を続けるか、結婚するか、別れるか。来年はどうなるかなあ。私は除夜の鐘を聞きながら、そんなことを思っていた。


「トイレ」


 彼が席を立った。ムードも何もない。熟年の夫婦のようだ。でもそれを私は気に入ってもいた。気楽な関係。

 除夜の鐘が鳴り終わった。年明けだ。私達は初詣にはいつも翌日に行く。だから今日はもう寝るだけ。


 カチャ


 彼がトイレから戻ってきたようだ。私はドアに背を向けてテレビを見ていた。


「佳奈、これどうかな?」

「んー?」


 私は彼の声に振り返った。


 ぶほっっっ


 私はお酒を吹いた。だって彼の格好が!なんでタキシード!?


「な、な、な、何してんの!?」

「えーと、借りてきたんだ」


 それはわかる!家にあるわけがないのだから!


「だから、なんでそんなの着てるのよ!?」

「いや、だから、その、この格好の俺の隣に並んで欲しい」


 プロポーズ!?そんな格好で!?


「ぶっ、あはははは」

「佳奈!」


 こんな奴と結婚するのは私くらいだろう。


「いいよ」


 私は答えた。

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