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33.

「本来なら、父上と母上が話をしなければならなかった。が、ふたりともおまえの性格をよく知っている。なにせおれたちの両親だから。おまえが真実を知ればどうなるのか? ふたりにはよくわかっている。だから、できうるかぎり話さないでおこうと決めたんだ。おまえは、ふたりの娘だ。間違いなく、ラザフォード公爵家の『お転婆嬢ちゃん』なのだから。だが、おまえの存在を知られてしまった。あんな状態だ。国王も必死なんだろう。それでも、父上と母上はおまえを守ろうとした。たとえ爵位を剥奪されようと領地を取り上げられようともだ。さらには、国外追放や処刑されてでも、おまえを守り抜きたかった。が、おまえがそうはさせなかった。そして、領民たちのこともある。ふたりは、いまも領地で心を痛めているだろう。心配しているだろう」

「わかっている。お父様とお母様は、間違いなくわたしのお父様とお母様よ。たとえ血がつながっていなくても、ふたりはわたしの誇りであり愛する人だから」


 心の中で、『ラルフ、あなたもね』と付け足した。


「父上も母上も、このことについて話をする覚悟をされた。しかし、おれがそれを止めたんだ。できれば、真実は隠し通したい。だから、国王の意図を探り、その結果でおれから伝えさせてほしい、とそうお願いした」

「もしかしたら、わたしの噂を聞いて純粋に妃に迎えたいって思ったかもしれないものね」

「悪いが、それはないな」

「あなたって、ほんとイヤな人ね」


 ふたりで笑ってしまった。


 ラルフの言いたいことはわかる。


 わたしの噂云々はともかく、万が一にも若いレディを迎えたいと思ったかもしれない。あるいは、最初の予想通りお父様をどうにかしたいと画策したのかもしれない。


 情報がないだけに、会ってみなければ意図するところがわからなかった。


 そのとき、ラルフが合図を送ってきていることに気がついた。


 と同時に、宮殿のある方向からふたりの男性がやってきた。


 ひとりは、不愛想な案内人。


 そしてもうひとりは……。


「やあ、きみが陛下の妃になるレディだね?」


 ずいぶんとさわやかな青年である。


 が、挨拶がわりに上げた手に痣がある。


 そして、白いシャツの襟もとから顔にかけても、同じようなどす黒い痣が見える。


 ラルフや国王や王太子と同じ痣が……。


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