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吸血姫


 健やかな目覚めです。温泉とは素晴らしいものですね。

最初は驚きましたけど、入ってるうちに違和感がなくなりました。

寝る前に毎日でも入りたいところです。


 さて今日はどうしましょう。捧げる供物としてラセムの実を採りに行きたいところですけど、

ササナさんと林に一人で行かないように約束しています。破ると間違いなく神罰が下りますね。

クランで特に束縛することはないから、いままで通り自由にしてて良いといわれています。

なので今日もギルドで依頼を受けるとしましょうか。

そろそろソーングラスにも飽きてきました。

さらなる成長の為にも、より強い敵を求める時かもしれません。

あっ、林は遠慮しますけど。


 今日は昨日に比べて人が少ないですね。

イベントというのが始まったのならもう少し多くても良いと思いますけど。

祭日に働いて普通の日に休むなんて、人間とは変わっています。

ササナさん達も夕方までこれないとのことです。きっと天上世界でやることが多いんですね。


 人がまばらなギルドの中で依頼を探します。

依頼にはランクという数字が付けられています。

これで受けられる依頼、受けられない依頼を区別しているみたいですね。

ちなみにソーングラスのランクは1。誰でも受けられる一番簡単な依頼のようです。

つまりランク2の依頼をさがせばいいわけです。ふむ…ふむ…いくつかありますね。

やっぱり成長するためには討伐依頼がいいですね。ランク2ベロンゴ討伐。これに決めました。

ベロンゴというのは蜥蜴のような魔物です。

ただし牙や爪はなく、長い舌で攻撃するくらいなのでそこまで強い魔物ではないです。

故郷の森でもたまーに見かけます。

大抵は弓矢で仕留めていたので、近くで戦ったことはないですけど何とかなると思います。

この依頼は五体ごとに報酬が支払われるようです。それもソーングラスの三倍くらい!

今から私はベロンゴハンターです!


 ベロンゴがいるのはこの町の南西。林の方とは正反対ですね。

門番の方に挨拶をして颯爽と町をあとにします。

門番さんはまた同じ人でした。この方は休みが無いのでしょうか…。

そういえばギルドの受付の人も同じ人ですね。

人間は働き者なのか怠け者なのかよくわかりません。


 平原を進んでいるうちに少し石や岩が増えてきました。

このあたりから現れる魔物が少し変化してきますね。

ソーングラスはまったく見かけません。魔物は縄張り意識が高いのでしょうか。

ベロンゴ以外にもこのあたりには巨大なナメクジのような魔物、

ウサギを凶悪にしたような魔物、鶏に人間の足のついた魔物など多種多様です。

ただ目当てはベロンゴ一択。他のは依頼を受けていないのでお金にならな――

まだ私には早いと思います。


 ベロンゴを見かけたのでさっそく戦闘開始です。

こちらに長い舌を鞭のようにしならせてきます。

その舌を剣ではじくと、ベロンゴが痛そうにします。当たり前ですね。

ベロンゴは愚か者に違いありません。

いえ…防御しつつ攻撃を行う私が一枚上手だったのでしょう。

ベロンゴが愚かではなく、私が賢いのです。


 そのまま間合いを詰めて一閃! …二段斬り! …三連撃! 

なんとか倒せましたね。ソーングラスは一撃でしたけど、

やはりランクが高いだけはあります。

あっ、ササナさんからの加護ポーションを飲むのを忘れていました。

ポーションを飲んだら仕切り直しです。この力の続く限り、ベロンゴを討伐し続けましょう!


 


――謎の少女――


 「はぁぁっ!! ブラッディレイン!」


 わたくしの華麗な魔法によって醜いチキンマンを殲滅しましたわ。

鶏にムキムキな人間の足をつけるだなんて、このゲームの開発は頭がおかしいんじゃないかしら。

まぁこのわたくしの美技にかかれば問題なく倒せますけれど。


 とはいえ一人だとやっぱりやれることに限りがありますわね。

あまり群れるのは好きではありませんけど、パーティとやらに参加してもいいかもしれませんわ。

もっともこのわたしくと釣り合うレベルの人間が存在していればの話ですけどね。ほーっほほほ。


 ……何か視線をかんじますわね…。


 ん? んんっ!? 人…じゃなくてエルフですわ。

種族選択で吸血鬼とエルフどちらにしようか迷っていたあのエルフですわ。

どちらも高貴…そして美しさが代名詞のような種族。

それにしても目の前のエルフ…悔しいですけどわたくしと同じくらい似合ってますわね。


 はっ!? 釣りあうレベルの人間はいなくとも、エルフならば釣り合うかもしれませんわね。

見たところレベルも同じくらい…。

孤高の存在であるわたくしと共に歩むのに相応しいかもしれませんわね。

初めてのパーティはあのエルフと組むことにいたしましょう。



 「あ…あなた!」


 ちょっと声が上ずってしまいましたわ。

よく考えたらNPC以外に声かけるの初めてでしたわね。

わたくしの初めてを幾つも差し上げているのだから、感謝してほしいですわね。


 「えっ? 私ですか?」


 他に誰もいないのですから当たり前でしょう。

とはいえこちらから誘うのですから、歩み寄る必要がありますわね。


 「ええ、このわたくしとパーティを組んで差し上げてもいいわよ」


 ……う、上手く言葉にならないですわね。颯爽と声をかけて手を差し伸べる予定でしたのに…。


 「パーティーですか? …いえ今はいいです」


 ……えっ!? いま…何て? …わたくし断られた? 

えっ…そ…そんな…勇気をだして声をかけましたのに…うっ…ううっ…。


 「町に帰ってからなら大丈夫です」


 !!? や、やりましたわ!! っと…町に帰ってからですのね。もちろんわかっていましたわ。

よく考えたら受けている依頼が違うのですから、一緒に戦っても効率が悪いですものね。

ふっ…うふふっ…でも町に帰ったら初パーティ結成ですわ。うふふっ…うふふふ…。



 「ええ、それでよくってよ! あっ、こ…これを差し上げますわ! 

 あなたが最初ですのよ。光栄に思いなさい」


 わたくしはブラッドルビーの如きブローチを生み出します。

いわゆるメッセージ送信アイテムですわね。

これがあればいつでもわたくしと連絡が取れるという家宝にしてもおかしくないアイテムですわ。

本来ならばわたくしは贈られてしかるべき存在なのですけれど、

ここはわたくしから贈ることにします。

う…受け取ってもらえないなんてことは………うふっうふふふ…

そんなことあるはずがありませんでしたわね。


 ……すぐに受け取ってくれないと心配になるからやめてほしいですわね…。


 と、とにかくこれでわたくしの初めてを三つも差し上げたのです。

きっとこのゲームのプレイヤーで最も幸運といっても過言はありませんわ。




――メルシャ――



 なんだか物音がすると思って探したら、

私と同年代くらいの女の子が魔法で魔物を倒していました。

その攻撃魔法は見た事ありませんけど、

魔物をあっさりと倒していたことから私の剣技と同等の力はあるようです。

なかなかやりますね。あっ、おもわず近くまで来ていたみたいです。声をかけられました。


 その女の子は全身黒で統一されています。

魔法使いというよりは、貴族のお嬢様といったかんじでしょうか?

一度だけ人間の馬車が森で故障した時に修理する間、貴族と呼ばれる人達が村に訪れた事があります。

その時乗っていた女性がこの少女のようなヒラヒラとした服装をしていましたね。

色は黒ではなかったですけど。


 その少女からパーティーの誘いを受けました。パーティーは聞いたことがあります。

人間の貴族は頻繁にパーティーを開くんだそうです。

そこでは美味しい食事がたくさんあるんだとか…。

これはチャンスですね。世界の見聞を広めるためにはパーティーはかかせません。

是非とも行くべきです。……あっ、今は依頼を受けていました。

依頼を受けた以上、それをほっといてパーティーに行くわけにはいかないですね。

お金も大事ですし何か罰則を言われてしまうかもしれません。


 少し考えてから依頼を終えて町に戻ったなら

パーティーに行っても問題ない事に気が付きました。

パーティーに時間制限がなければぜひそうしたいですね。


 そう伝えると喜んでくれました。女の子の顔がすごく笑顔になっています。

そんなに喜んでもらえると私も嬉しいですね。あと宝石のついたブローチも頂けました。

これはササナさんから頂いたのと同じようなものでしょうか?

パーティーに誘ってもらっただけでなく、宝石までくれるなんて貴族の人は凄く太っ腹ですね。


 私は少女と別れてベロンゴ狩りを再開します。このあとは美味しい食事が待っていますからね。

お腹をすかせる相手にちょうどいい相手です。さぁどんどんいくとしましょうか!


 


 

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