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24-4オブザデッド



 体長4m、知力がまるでないような顔、丸太のような腕、でっぷりとした腹、臭い足。トロールはそんな男だった。戦争前は誰からも疎まれていた。だが、その扱いは180度変わった。豊富な知識量とこんぼう(飾り)で王国軍を勝利に導いた軍師の彼は、トロール師、トロール師と呼ばれながら、今は王国の知恵者たちに知識を授けている。彼専用の部屋ももちろんある。天井の高さは4mと1センチだ。



 †漆黒の闇†は欠けたレンガを武器に戦った乞食だ。「くれよ! くれよ! お前の命くれよ!」とゾンビの頭をぶっ叩き、たくさんの血と腐肉を奪った彼は、気づかぬうちにいろんなものを与えていたのだ。それは希望であり、勝利であり、勇気だった。†漆黒の闇†はビッグになって、今では72部屋ある豪邸に住んでいる。もう乞食には戻れないだろう。



 V子は科学者である。銀髪ロング褐色巨乳美女。白衣を着ているが、巨乳すぎてボタンが閉まらない。そんな彼女は王国軍においても無自覚かつ奔放に振る舞い、男たちをヤキモキさせていた存在だった。ネクロマンサーを倒した今、もとの科学者としての本分に戻り、最新式のメスをきょうも振るっている。男たちから毎日のように求婚されても、今はまだ研究一筋だ。ああ、またネクロマンサーのような面白い事件がおきないかな──。



 金の目に青い髪のビスクドールが生身の人間になりました。でお馴染みのマキラは職業おかえりなさいませ、ごしゅじんさまである。晶魔石が嵌め込まれた美しい剣はたくさんのゾンビを斬り払い、見る影もなくなってしまったけれど、しかしそんな剣よりも彼女の無事をごしゅじんさまはなにより喜んだ。初めて迎えられたことに、マキラは戸惑い、けれどこれも幸せなのだと感じた。今はもちろん、マキラがごしゅじんさまに毎日おかえりなさいを言うのだ。



 ギルバートは草臥れたコートを羽織っている歴史学者だ。フェフィーナ姫との邂逅を果たした彼はその後も、かつて王国の前にあった美しい国の研究を続けた。七王魔術師。そしてその国を襲った悪の死霊術師。彼はこれからも後世に歴史を伝え続けるだろう。もしかしたら歴史学者こそが、一番真摯に未来と向かい合っている職業なのかもしれない。ギルバートの毎日も、これから続いてゆく──。



 右肘は阿部寛だ。違う、阿部寛の肝臓だ。阿部寛の肝臓が右肘という名前で、武器は鈍色のガン細胞らしい。うむ……。結局、右肘とはなんなのだろうか……。意志をもった肝臓だとすると、怖すぎる。そもそもガン細胞があるらしいし……阿部寛には長生きしてほしい……。TRICKとか面白かったよね。好きです、阿部寛。



 辞書は辞書だ。文字を武器にしている辞書だ。作中ではずっと殿下や文官が持っていた。そもそもなんの辞書なのかもわからない。知力10らしいけれど……。なんの辞書だったのか、今決めよう。この辞書は羅和辞書です。ラテン語やギリシャ語は、文字書きにとってはなんとなくかっこいいネーミングをつけるために必要なものだ。羅和辞書は王国の本棚に戻された。うん。よかったね!



 エピローグはなるべく全員を最高に幸せにしてあげたいと思っているけれど、わたしは神様じゃないんだ!! 無理なことだってあるんだ!!!



 腐った魚の目はこどものおもちゃらしい。つぶらなひとみをした、クマのぬいぐるみだ。ああ……そうですか……。腐った魚の目は、あくまでもただの名前で? 実際は、つぶらなひとみで? ああ、はいはい、そういうやつですね、わかりますよ。名前と実際がぜんぜん正反対なやつね、ははは。ねえよ! こいつにエピローグなんて!! 孤児院でこどものおもちゃになって幸せに暮らしましたとさ! めでたしめでたし!!



 長家大輔おさけだいすけは、酒屋だ。まさに天職だろう。ネクタイを頭に巻いていて、一升瓶を武器にスケルトンを叩き割ったやつだ。よかった、人間だ。エピローグを書くなら人間に限る……。お酒を大好きでちょっと肝臓を痛めていたけれど、でもネクロマンサーを倒したことによってなんか全身がすごい魔力で生まれ変わったような気分になったので、今では毎日20リットルの日本酒を飲んでも平気らしい。酒屋としても愛され、これからも商売繁盛で生きていくだろう。おめでとう!



 ポチポチはマスコットの犬だ。犬か……。今回のエピローグ、人間が少ないな……。マスコットということは、きっともともと誰かに愛されていたのだろう。けれども戦争で主人を亡くしてしまった犬が、その弔い合戦に挑んだのだ。ポチポチは戦いが終わって野良に戻ろうかというところで、王城に引き取られた。今は城のキッチンで女中たちに可愛がられているらしい。まさしく、マスコットとして。幸せにおなり、だ。


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