24-3オブザデッド
委員長のからは窓の外を眺めていた。彼女はあの日、確かに世界を救った。しかし日常に帰ってきて、あの日々はもしかしたら夢だったんじゃないかって思えてきた。しかし、からは確かに戦ったのだ。色あせてゆく記憶の中で、毎日勉強に勤しみながらも、彼女はのんびりと過ごしていた。まあいいか、大人になるのを焦らずとも、時はいつでも平等に訪れるのだから。ある日、クラスメイトに言われて、からは微笑む。「なんか最近、からって大人になった?」
すみーは炭焼き職人だ。炭焼きの力でどうやって世界を救ったのかは自分でもわからないが、きっとコックの助けになったとかそういう感じのあれだろう。すごくマイナーで、戦闘能力とかはないけれど、でも自分の力がきっと旅の一助になっていたはずだ。すみーは炭焼きに誇りとプライドをもっている。信ずる道を歩むこと。それがきっといちばん大切なことなのだ。
シロは白い毛並みのケットシーだ。気の向くまま、足の向くままに生きてきた。王国奪還を手伝ったのだって、ほんの気まぐれだったのだけど……まあ、あれはそれなりに楽しかった。また殿下が困っていたら助けてやってもいいかな、と思う程度には。だって、だってあの殿下が困るようなことなんて、きっと、また面白いに違いないから。ケットシーは含み笑いを隠しながら、今度は西か北か東か南か。ま、どっちでもいいけれどね。
はにぃは秘書だ。異形頭(時計)のスーツの男である。杖をついて歩くその姿、立ち振舞いはさっそうとしていて、人ではないにしても奇妙な魅力がある男だった。その姿は王宮の人々にも密かな人気を得て、さらに冒険をくぐり抜けて洗練された魅力には貴婦人たちも黙ってはいない。けれど、はにぃ自身は普段通りの暮らしに戻れたことをなによりも安堵し、本日も殿下のスケジュールを管理するのだ。
ハリキリは無職(自称哲学者)だが、その知識にはたくさんの人々が助けられた。彼の噂は近隣の諸国にも広まり、多くの軍人や文官が尋ねてきて、ぜひうちの国にという勧誘がひっきりなしに訪れた。のだが、ハラキリときたら相変わらずぐうたらと暮らしており、世俗など知ったことかという態度だ。けれど、彼の回りの人々はわかっているだろう。再び国に危険が迫ったときには、ハラキリは立ち上がってくれるだろう──と。
ピクリン=サンはほぼピ○ミンの従者で、その武器はダイナマイトだ。なんとも物騒な彼は、しかししたくて戦争をしていたわけではない。戦わないで済むならそれが一番なのだ。今、ピクリン=サンは荒廃した風土の復興事業を手伝っている。毎日単純な作業の繰り返しではあるが、人に感謝される仕事だ。生まれて初めて彼は『やりがい』というものを実感していたのだ。
アフリカ大陸である。……アフリカ大陸である。国土であり、地図に乗っている通りの形をしたアレである。アフリカ大陸て……。え、なに、パーティーとともになにかしていたの……? 移動、して? あ、そう……。ふーん……。そう……。あ、ごめん、わたし先生に呼ばれているからいくね……。またね……。
村人のひょろは、志高い村人だ。なんにもないけど殿下の為に力になりたいと集った村人だ。ひょろは目立った武功をあげることはなかったけれど、しかしその人生において『殿下を助けた』という自身は、生き方を非常に豊かにするものだろう。胸に手を当てれば、殿下とともに冒険した記憶はいつでも蘇る。ひょろはとても立派な村人だ。
ホルスタインは乳牛だ。牛だ。王国軍とともにアンデッド軍団を撃退した、とてつもなく強い牛だ。やたらと動物が多かった今回の戦いだが、その中でも牛とゴリラ、犬率が高かった。犬はともかく、なぜ牛とゴリラ……。ともあれ、いいミルクを出してこれからも王国民に栄養をあげてほしい。
自分のことを発症寸前のウィルス感染者だと思ってる精神異常者(気合いで押さえ込んでいると思ってる)のイレーナだが、この旅の冒険を経て、彼女は自らのウィルスを無事に克服することができたと確信していた。そのため、性格ははつらつ、気分は上々、おまけに底辺臭い顔も輝きに満ちて、美貌も溢れ出す。ああ、一緒に冒険にいってよかった。自分の人生はこれからきらめきだすのだ! 殿下、最高!




