表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百年遅れの英雄譚  作者: すっとこどっこい
第二章 少年時代(魔竜討伐編)
25/49

フランへの帰還

 シフが息絶えた魔竜を見ていると、ケラシーヤがそっとシフの手を握った。

 シフは、ぎゅっと握り返す。お互いに何も言わず、少しの時間が流れた後、シフがケラシーヤに向き直った。


「強かったね。何とか生き残れて良かった。ポーションもったいないし、回復してもらえる?」

「それはいいけど、腕、治るかな」

「治らなければ、その時に飲むかどうか考えるよ」


 ケラシーヤはウンディーネを呼び出し、癒しを施す。さらにプリーストが使うヒーリングも重ねる。


「ケイってそんな回復も使えるんだ」

「ゲームで言うところの、メイジ、ディバインを基本にソーサラー、ウィザードもかなり上位まで行けるわ。プリーストは若干習熟への方向性が違うから途中で諦めたけど、そこそこは使えるわよ」

「それは凄いな」

「時間だけはあったから。腕の様子はどう?」

「ん、何とか動く」


 手を握ったり開いたりして、感触を確かめる。動かすと激痛が走るが、今後動かなくなるほどではない。


「しかし、もう日が暮れそうね。シフくん、ずっと戦っていたの?」

「そうだな。考えたら、長かったな。スタミナポーションも尽きたし」


 朝から戦っていたから、ざっと十時間以上は経っている。

 ケラシーヤは悔しそうな顔でため息をついた。


「早々に戦線離脱してごめんなさい。しかも、私にヒーリングポーションを一個使っちゃったでしょう。よく致命傷を負わずに戦えたわね」


 シフはケラシーヤの言葉に首を横に振る。どう考えても、開幕の連続魔法と片目を潰してくれたのが大きい。


「最初に大活躍だったじゃんか。怪我のせいで魔竜の消耗も激しかったからな。持久戦なら有利だと思ったんだ」

「それにしても、一撃で致命傷は情けなすぎるわ。それで、シフくん。最後に魔竜と会話していたでしょう」


 それまでの、疲れをにじませて怪我を気遣う顔と変わって、真剣な表情でシフに問いかけてくる。


「うん。色々と解ったこともある」


 シフはケラシーヤに、魔竜とのやりとりを説明する。

 最後は正気に戻っていたこと。シンというヴァンパイアのこと。


「そう、最後は聖なる竜として逝けたのね」

「うん。それで、この竜の身体なんだけど。素材として優秀なのは解るんだけど、一部を除いてそのまま葬ってやりたいんだ」


 申し訳なさそうに口を開くシフだったが、ケラシーヤは当然のように頷く。


「そりゃそうでしょ。誰だって、前世とはいえ自分の肉親をいいように使われたくないわ。でも一部って?」

「竜の牙は、加工したら魔道具の素材になるって聞いた。それと、鱗も相当堅いから、鎧に最適だって」


 ケラシーヤは戸惑いつつ頷く。


「形見ってわけじゃないけどさ。俺、この鱗で作った鎧を着たい。それと牙を使った何かお守り代わりになるようなものが作りたいんだ」

「そう……そうね、じゃあ、シフくんが欲しい分だけ拝借して、あとは土葬にしましょうか。火葬しようにも、燃えないものね」


 シフは充分と言える量の鱗を集めて、何本かの牙を取る。すべて終わってから、ケラシーヤにお願いをする。

 ケラシーヤはノームを呼び出して地面を掘ってもらい、竜の遺体を奥深くに埋めて、何もなかったように土をかぶせた。


「これで、生半可な探索じゃ出てこない場所に埋められたと思う。今日はここで、追悼の意を込めて夜を明かしましょう」

「うん。ケイ、ありがとう」


 竜の素材、それも世界でも類を見ないほど格の高い竜の素材だ。喉から手が出るほど欲しがってもおかしくはない。しかしシフの気持ちを優先して、惜しがる態度を微塵も見せないケラシーヤに、シフは深く感謝をしている。


「ううん。私は何もしていないわ。ごめんなさい、シフくんには辛い仕事になっちゃったわね」

「いや、いい経験になった。戦闘経験も、精神的なものもね」


 そして、シフとケラシーヤは、ゆっくりと会話を重ねながら、一夜を明かした。



 翌朝、どちらともなく立ち上がり、ケラシーヤの飛行魔法で、山を下りた。

 近くの村まで行き馬を回収して、お礼にいくらかのお金を支払う。休憩や寄り道は極力減らしつつ、シフたちは飛竜討伐の町まで戻ってきた。


「疲れた。前の宿でいいわよね?」

「ああ、いいよ。じゃあちょっと支部寄ってくるわ。依頼受けてくれた人がいるかもしれないし」


 シフはケラシーヤと別れて、支部へと向かった。

 受付に行き、状況を確認すると、依頼はすでに達成した者がいるとのことだ。


「そうですか。じゃあ素材の半分、持って帰りたいんですが、どこで受け取ればいいでしょう」

「それが、ちょっと多くて。馬があっても、運べる量じゃないと思うんです」


 連れて行かれた倉庫には、山と盛られた鱗や牙、骨まである。


「うわ。これは予想以上に多いな」

「馬車か何かがあれば運べますけど。どうされますか?」


 運び屋を雇うか、馬車を買うか。シフは問題を後回しにして、ケラシーヤに押しつけようと決める。


「また来ます。もう少しの間、置いてもらえますか? 帰って、連れに相談したいので」

「それは構いませんよ。倉庫も余裕ありますから」


 了承を得て、シフはいったん宿へと戻る。ケラシーヤに相談して、馬車を借りるのが良いだろうという結論になった。

 まだ昼過ぎの時間だったため、シフとケラシーヤは一緒に宿を出て、昼ご飯を食べる。


「馬車での移動って、帰るの遅くならねえ?」

「少し遅くなるけど、運び屋を雇うともっと遅くなるわ。人が増えるほど遅くなるもの。顔見知りがいたら、本部まで運ぶのをお願いしてもいいんだけど」


 ケラシーヤの言葉に、シフが首を傾げる。


「そういえば、飛竜討伐した後、支部長だかに声をかけられたけど、ケイの知ってる人?」

「ええ、名前に聞き覚えはあるわね。彼に頼んじゃいましょうか」


 運ぶの面倒だし、とケラシーヤが本音を漏らす。シフとしても、頭ごなしの命令でなく、仕事の依頼という形式であれば異論はない。

 さっそく傭兵団に行き、今度はケラシーヤが名前を出して支部長への面会を求めた。

 すぐに通してもらい、二人で部屋まで行く。


「こんにちは」

「これはケラシーヤ様、それにシフ殿。先だってはありがとうございました」

「こちらこそ、お世話になりました」


 ケラシーヤの言葉に、支部長は丁寧に挨拶を返す。

 少しの雑談をした後、本題を切り出す。


「私たち、ちょっと急いでフランに戻りたいの。それで飛竜の素材なんだけど、運ぶのを誰かに依頼してもいいかしら」

「かしこまりました。依頼として承ってよろしいのですかな?」

「ええ、それでお願い」


 一般的な運びの仕事に、少しだけ上乗せした金額を提示する。


「それで、ケラシーヤ様が動くとなると、どういった案件だったのですかな?」

「ちょっとね。国として邪魔な存在を、討伐に」

「国として? 討伐って、まさか……?」

「ええ、魔竜ゲオルギオスをね。さくっと」


 フランに戻ったら大々的に発表するけど、それまでは内密に、とケラシーヤは付け足す。

 若干青ざめながら、支部長が頷く。


「ケラシーヤ様とシフ殿で退治されたのですか?」

「ええ。と言っても、私は地上に釘付けしただけで、後は死にかけてたから、功労者はシフくんだけどね」


 ケラシーヤの言葉に、シフは首を振って否定する。


「ケイが片目を潰してくれたから、死角ができて勝負になったんだ。どう考えても、功労者はケイだよ」

「まあ、どっちでもいいわ。二人が揃ったからこそ、討伐できたのは確かだから」


 ケラシーヤは誇らしげに告げる。シフも、ケラシーヤと一緒に戦えたという事実は、何よりも誇らしい。


「そうですか。解りました」


 支部長はシフとケラシーヤの様子を見ながら、笑みを浮かべて頷いた。

 ケラシーヤは何か思うところがあるようで、作り笑いのような顔でぼそりとつぶやいた。


「あと、余計な詮索はしないでね」

「大丈夫ですよ。問題ありません」


 にんまりと顔中に笑みを浮かべた支部長に対して、ケラシーヤは苦虫を噛み潰したような顔になる。


「ケイ、何かあったの?」


 二人の変化に、シフが疑問を口にする。支部長は黙って首を横に振るので、後でケラシーヤに聞こうと思い、話を切り上げた。

 その後は事務的な処理の確認などを行い、シフとケラシーヤは六歌仙の支部を出る。


「ケイ、さっきのは?」

「んー。年の功って奴かしら。色恋沙汰を把握されてるっぽかった」

「そういう話か。でも素材はあっさり了承してもらえて良かったね」

「そうね。私が出たから、優先してくれると思うわ。特権を使いすぎるのは良くないけど、これくらいなら文句も出ないと思うわ。報酬も弾んでるし」


 そんな話をしながらシフたちは一泊して、翌日からは急ぎ足でフランへと戻った。



 フランを出た頃はまだ冬の本番で年が明ける前だったが、戻ってきたのは春に近い時期だった。


「結構長かったな。寄り道は最小限だったんだけどな」

「そうね。でも、功績を考えたら短い時間で達成したと思うわ」


 正門でケラシーヤが軽く説明して、ほとんど待たずに通してもらう。

 町に入り、シフたちは六歌仙の本部へと直行した。


「ゼロを呼んで。すぐ部屋に来るよう伝えて」


 ケラシーヤは入るなり、歩きながら受付の奥にいる男性に声をかける。

 シフが小声でケラシーヤにお伺いを立てる。


「あのさ、俺、トリに声をかけてきていい?」

「もちろんいいわよ。行ってあげて。でも、なるべく早く、部屋に来てね」

「おう。じゃあまた、後で」


 シフはケラシーヤと別れて、厨房へと足を向ける。


「トリを呼んでもらえますか?」

「あいよ、ちょっと待ってな」


 シフがここに来てすぐ、何度か足を運ぶうちに顔見知りになっていた料理人に声をかける。

 言われた通り少し待つと、トリが厨房から出てきた。


「兄貴、お帰り」

「おう、ただいま。遅くなって悪かったな」

「無事に戻ってきたんなら、文句はねえよ」

「お守りのおかげかもな」


 話しながら、シフはトリの口調が気になって質問をする。


「トリって話し方は学んでねえの? ずっと変わらねえな」

「兄貴以外には、それなりに取り繕ってるよ」

「何だそれ。俺は取り繕うに値しないってか?」


 シフが拗ねたように文句を言うと、トリは肩をすくめる。


「逆だけどな。兄貴は、俺が唯一取り繕う必要がない、信頼できる相手なんだよ」

「そ、そうか。悪い、勘違いした」


 言いながら、トリはこれまでに見たことのないような柔らかい笑みを浮かべた。シフはその笑顔にびっくりして、わずかにどもりながら返事をする。

 トリは子どもだと思っていたが、考えるともう十三歳なのだ。もう二年もすれば成人として扱う年齢だ。それに、栄養状態が良くなったせいか、数ヶ月前に比べて肉付きが良くなっていて、身長も伸びたような気がする。


「背が伸びたね。調子も良さそうで、安心した」

「おう。みんな良くしてくれるからな。食うもんも美味いし」


 あまり長く仕事から離れるわけにもいかないので、また晩ご飯を一緒に食べる約束をして、シフはケラシーヤの部屋へと向かった。



 シフはケラシーヤの部屋の扉を叩いて、返事を待って中に入る。


「あ、ごめん。続けて」


 すでに部屋ではケラシーヤとゼロが話をしていた。話が途切れたので、続けるようにうながす。


「偉いさんに報告してから、町で大々的に発表するわ。その時に王女の生存とお披露目もやっちゃいましょう」


 どうやら、魔竜討伐の告知で相談をしていたようだ。

 ゼロと会釈で挨拶をして、シフは邪魔にならないよう端の椅子に座る。


「魔竜討伐の発表は大々的にするべきですが、王女のお披露目は同時にしない方が良いかと」

「あらそう? でも王都は魔竜に目を付けられていたから逃げたけど、いなくなったんだから復興しなきゃ。そうなると、王女に立ってもらって、いずれ女王になる存在を明らかにしておかなきゃ」

「時期尚早ではないでしょうか」


 話を聞いているとゼロは慎重派のようだ。ケラシーヤは悩ましげに胸元で腕を組んで、爆弾を落とした。


「でも、私はそれほど時を置かず、引退するの。一つ調べ物があるから、それが終わってからだけどね。王都の復興準備や再建も全て任せていいなら、のんびりしてもらってもいいけど?」


 ケラシーヤの言葉に、ゼロは慌てて椅子から立ち上がる。


「ちょ、ちょっと待ってください。今、ケラシーヤ様に離れられると、六歌仙はやっていけません」

「そんなことはないわ。事実、私がふらっと逃げても問題なかったし、ここ数ヶ月も大丈夫だったでしょう」

「それは、あくまで一時的な留守ですから、引退とはわけが違います」

「私がいない程度で瓦解するほど、六歌仙は脆弱な組織かしら?」


 弱り切ったゼロが、救いを求めるようにシフを見る。政治の話に口を挟むつもりはなかったが、気になっていたことをケラシーヤに質問する。


「ケイ、どうして引退するの?」


 もしかして、とシフはケラシーヤのお腹あたりに目を向けるが、ケラシーヤは首を横に振る。

 下腹部を少し撫でながら、ケラシーヤは理由を口にする。


「シフくんと一緒に冒険したいのよ」

「もう少し後でもいいんじゃねえの?」

「うー。そうなんだけど」


 シフは別の意見を口にする。


「少なくとも、仕事をきっちり引き継げるようにしてから辞めるべきじゃないか?」

「それもまあ、そうだけど」

「俺も手伝うからさ。王国の復興が済んでから引退でいいじゃんか」

「でも……」


 まだ何か燻っているようなので、シフはケラシーヤに提案を持ちかける。


「その前にさ。話題は変わるけど、ヴァンパイアの件はもう言った?」

「まだ。これから」


 首を傾げたゼロに、ケラシーヤが事情を説明する。


「シンですか。聞いたことはありませんね」

「それ、調べてもらえますか?」

「ええ、それは大丈夫ですが」


 ゼロはちらりとケラシーヤにお伺いを立てて、頷いたのを見て正式にシフの依頼を受けた。

 ケラシーヤはヴァンパイア、吸血鬼の脅威について補足する。


「そうね。シンについては、誰か魔物に詳しい人に聞いてみて。封印されているのか自由なのか知らないけど、居場所が解れば対処しやすいし。それと吸血鬼は眷族を増やすから、六歌仙全体に依頼を出すかもしれないわ」

「はい、かしこまりました。ですが全体に依頼を出すとなれば、資産をすべて使ったとしても、費用が足りるかどうか」

「状況次第だけど、私が出すわよ」


 ケラシーヤの申し出に、ゼロは渋い顔になる。


「いえ、それは良くないかと。もし国家規模の問題であれば、国が騎士を派遣して、国の要請で六歌仙に限らず傭兵団全体へ依頼を出すべきものです」


 口を挟む暇がなかったシフは、ケラシーヤがゼロの言葉で考え込んだ時に、挙手をして質問をする。


「あの。聞いてると、ケイの資産が国家規模っていう風に聞こえるんだけど」

「ケラシーヤ様は、それくらいお持ちですよ。百年間で、いくつかの町でご自宅を買われた以外はあまり散財せず、それでいて色々と勝手に入る仕組みになってますから」


 シフが、じゃあ命に関わる事変が起きない限り、ケラシーヤ自身は働く意味はないんだなと思ったのと同時に、ケラシーヤが釘を刺す。


「シフくん。お金の問題はともかく、六歌仙での依頼は受けるわよ」

「わ、解ってるよ」

「……そう? 今、もう働かなくていいやって顔、してなかった?」

「そんなことないって。ケイ自体は働かなくても余裕あるんだなとは思ったけどさ。俺がケイの金に頼って何もしないって、それじゃ駄目な人間じゃんか」


 内心で少しだけ思ったのは秘めて、平静を装う。


「あらそう? ま、いいわ」

「じゃあさ、復興もだけど、俺たちが深く関わるかどうかはともかく、この件が片付いたら会長職っていうのかな、引退すればいいんじゃないか」


 シフがゼロに視線を向けると、それくらいの時間の猶予があるのなら、と頷く。


「シフくんがそう言うなら、そうするわ」


 ケラシーヤは仕方がないと言って、話を変える。



「じゃあ、難しい話は終わり。今日の夜なんだけど、無事な帰還を祝って宴会しましょう」

「いいね。でも、トリも誘っていいかな?」


 シフが即座に同意すると、ケラシーヤも笑顔で頷く。


「当然よ。ゼロは断る権利はないわよ。あと、留守に面倒を押し付けたミーアちゃんも。妹のティナちゃんも一緒に来ていいって言えば来るはずよ」

「ティナ? 確か試験の時に……」

「そう。あの時のワイルドキャット。ミーアちゃんは口が固いから色々と説明してるんだけど、ティナちゃんはちょっと噂好きというか、何というか」

「考えなしなのですよ」


 ぼそりと、ゼロが酷い一言をつぶやいた。シフが呆気にとられると、ケラシーヤが吹き出した。


「あら。可愛い彼女の妹に向かって、そんな言い様は酷いんじゃない?」

「いえ、本当のことを言ったまでです」


 彼女? と首を傾げたシフに、ケラシーヤが事情を説明する。


「ゼロとミーアちゃん、結婚を前提に付き合ってるのよ。色々と忙しくて式は挙げていないんだけど。そろそろ何とかしたら?」

「ケラシーヤ様が魔竜を討伐してくださったお陰でしばらく慌ただしいですが、それが落ち着いたら検討します」

「そこは検討じゃなくて確定でいいじゃないの」


 意外と言えば意外だが、二人とも真面目そうで似合っているのかもしれない。


「そうなんだ。結婚式には呼んでくださいね」

「ええ、まあ、その時は」


 ミーアとティナには、ゼロから連絡すると言っていたので、シフはトリへの連絡を請け負う。


「トリちゃんに、魔竜退治をしに行くって、言ってなかったのよね。帰ってきてから、言ったの?」

「……まだ、言えてない」


 気まずそうにシフが言うと、ケラシーヤがぼそりと呟く。


「それ、まずいんじゃないの? 今からでも言ってきなさい」

「えっと。まずいかな?」

「ええ、かなり。怒るわよ。少なくとも私なら怒る」


 ケラシーヤに部屋を追い出されて、シフはトリに説明するため、重い足を厨房へと向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ