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17-4

 警察署に連絡を入れたところ、首尾良くミン刑事を捕まえることができた。「現場に部下を向かわせる」と電話口で彼は言った。「ウチの連中に引き継いだら事務所に帰ってろ」とのこと。


 わたしは言われた通りにし、根城に戻った。するとそのうち、ミン刑事が訪れた。


「どうしたんですか?」

「またおまえの顔が見たくなってな」

「最近、顔を合わせてばかりいるように思いますけれど」

「まあ、そう言うな」


 ミン刑事は客人用のソファにどっかりと腰を下ろした。


「コーヒーでいいですか?」

「ああ」


 わたしはトレイを持ってテーブルにまで至ると、カップをミン刑事の前に置いた。早速、口を付けた彼である。


「インスタントでも、メイヤに振る舞ってもらえると、美味いもんだ」

「いつものひいき目ですね」

「本気で言ってるんだぜ?」

「ありがとうございますと言っておきます」

「宅配業者を装った強姦未遂。よくある事件だったな。ああ、まったく、その通りだ」

「犯人は女性が一人暮らしだと知っていたんでしょうか。それとも、行き当たりばったりの犯行だったんでしょうか」

「さあて、どうだったんだろうな。とにかく独り身の女が襲われた。それだけだ」

「ま、そういうことになりますね」

「今回、おまえがぶっ飛ばしたニンゲンをしょっぴいてやったわけだが、やっこさんは先の一件、すなわち、文通をやっていた女の殺害にも関与していると思うか?」

「その点については、今のところわかりませんね」

「まあ、実際、同一犯だろう」

「刑事としての勘ですか?」

「もしそれがハズレだってんなら、改めてそう伝えることにする。にしても」

「なんですか?」

「いや。女の一人暮らしはやめてくれって啓蒙する必要があると思ってな。危なっかしいったらありゃしねー」

「わたしだって一人ですよ?」

「おまえは別だ。こと喧嘩においては群を抜いてやがるからな。ただ、もっと積極的に鉄砲をぶっ放してもいいんじゃないかと俺は思う」

「極力、ヒトを殺したくはありません」

「言ったはずだぜ? その甘さが命取りにならないことを祈ってるって」

「やっぱり優しいんですね、ミン刑事は」

「おまえがヒトを殺したくないってんなら、殺したいヤツが現れたら俺に言え」

「おおよそ、警察官の台詞には思えませんね」

「おまえの頬の傷は、見るたびつらい」

「それは重々わかっています」

「マオがしくじったってんなら、俺がってやる。俺がヤツを追い詰めてやる。だからメイヤ。何も心配するな」

「心配なんかしていませんよ。カッコいい男性二人に守られて、わたしは鼻が高いです」

「そうか?」

「はい」

「これからも仲良くしていこうな、メイヤ」

「勿論です」


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