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17-3

 さあて、次はどこを当たったものかと考えつつ、フートンを散策している最中さなかにあって、女性の高い悲鳴が耳に届いた。近所のアパートからである。そこに直行。だけど、どのフロアからのものなのかまではわからない。すると、また叫び声が聞こえた。「誰か、誰かっ!」と助けを求めている。二階だ。階段を駆け上がり、懐から抜いた銃を構えつつ、問題の一室の戸を勢い良く引き開けた。


 背中の広い男が女性ににのしかかっている様子が確認できた。まだこちらには気づいていない様子。それだけ犯すことに夢中なのだろう。わたしはあまり鉄砲が得意じゃない。だから速やかに突き進んで、男の右の側頭部に蹴りを見舞った。顔面へのローキックといったところだろうか。男は転がり、素早く立ち上がるとサバイバルナイフを構えた。下品な武器だ。


 襲われていた女性に向かって、「下がっていてください」と、わたしは言った。男のナイフの突きをかわして、腹部にカウンターの右膝を一発。それでも倒れなかったので、右、左とテンポ良く肘を顎先に決めた。男が両膝をついたところで、また側頭部に蹴りを見舞う。ついでに頭頂部に踵落とし。前のめりにどっと倒れた男は気を失ったようだった。やっぱりわたしって途方もなく強いんだなあと実感した次第である。


 それにしても、最近、格闘ばかりしているように思う。まあ、得意分野だからいいのだけれど。


 手を貸し、女性のことを立たせた。彼女はまだ震えている。


「この男に見覚えは?」

「ありません」

「宅配業者のなりをしていますね」

「実際、そう名乗られたから、戸を開けてしまったんです」

「なるほど」

「怖かったです……」

「そうでしょうね」

「助かりました。それにしても、お強いんですね。女性なのに……」

「自分をいじめるほどに、とことん、鍛えていますから。ところで、一人暮らしなんですか?」

「そうです」

「了解です。わかりました」


 わたしは電話を借りて、警察署に連絡を入れた。この街においてはどこででも発生しそうな事件ではあるものの、彼らには彼らなりの仕事をしてもらわなければならない。


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