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28-2

 ミン刑事から連絡を受けた。なんでも、ホームレスの男性が殺されたらしいとのこと。


 ミン刑事は、時折わたしが家を持たない方々に差し入れをしていることを知っている。偽善だとは言われない。だけど、食料を持っていくことについてはあまり面白く思っていないようだ。「そんなことをしてたらキリがないだろうが」と叱られたことがある。


 彼の言うことはもっともだと思う。だけど、この街において餓死者が出てしまうようなことになれば悲しい。


 亡くなったホームレスの男性は、どうやら暴行を受けたらしい。警察署で遺体を見せてもらったのだけれど、角材か何かで体中を執拗にぶたれた様子が窺えた。


「ホームレス狩りっていうらしい」

「ホームレス狩り?」

「ああ。若い連中が面白半分で痛め付けたんだって、他のホームレスは話していた。俺にとっちゃあ、どうでもいい話なんだが」

「ミン刑事っ」

「わかってるよ。こういった物言いが、おまえにとってはタブーであることくらいはな」

「ミン刑事だって、わたしがホームレスのみなさんと懇意にしているから、この件について知らせてきたんでしょう?」

「まあ、そうだ」

「怒りを覚えます」

「冷静さを失うなと言っておく」

「社会的弱者をいたぶるなんて、ゆるせません」

「おまえはどうしたい?」

「彼らのダンボールハウスに間借りしようと思います」

「そうまでしてやる義理はないと考えるがな」

「だけど、見過ごすことはできません」

「そこまで言うなら、警らの順路に加えてやる」

「わたし一人で処理できます」

「なら、何も言わん。だが、悪いことだと言い聞かせたところで、大人しく引き下がる連中かねぇ」

「それでもなんとかします」

「おまえの正義感にはいつも恐れ入る」

「正義感あってのことじゃありませんよ。当たり前のことをしようとしているだけです。わたしだって……」

「なんだ?」

「わたしだって、マオさんに拾われなければ、家なき子だったんですよ?」

「それはそうだな」

「とにかくやります」

「気を付けろよ」


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