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EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~  作者: 青空顎門
第一章 未来異星世界

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047 成長と最深部

「おとー様もおかー様も凄いです!」


 あの後もう一度罠と機獣の襲撃を潜り抜け、フィアのシールドに守られながらルクス迷宮遺跡の通路を進む中。彼女がはしゃいだように言う。


「いや、まあ、貰った先史兵装(PTアーマメント)のおかげだけどな」


 対してマグは、全く謙遜ではなく事実として言葉を返した。

 特に【エクソスケルトン】のガイドシステムは非常に助かる。

 荒事に慣れていない全くの素人が戦闘で的確に立ち回れるのだから。

 他の先史兵装(PTアーマメント)にしても有能なものばかりだった。

 クリルには感謝しかない。

 それだけに自分の功績と胸を張ることなどできるはずもない。

 なので、マグは話を変えようとアテラに顔を向けて口を開いた。


「それよりアテラ。それ……」


 視線を彼女の頭部に動かしながら続ける。

 いつの間にか【アクセラレーター】の時と同じように外見が変わっている。


「はい。何度か使ったおかげか、少し超越現象(PBP)が成長したようです」


 マグの指摘に、アテラは若干後ろを振り向くような動作をしながら答えた。


「ポニーテールが……これは【モーフィングソード】か?」

「みたいですね」


 後頭部。【アクセラレーター】の歯車の後ろにあった簡易的なポニーテール状のパーツが、長く太く鋭利な形状に変化していた。

 丁度、両手剣が半分に折り畳まれたような感じだ。

 柄の部分がジョイントのようになり、歯車の少し下に接続されている。

 加えて、前頭部にはオシャレな鉢金のような装甲も増えていた。

 こちらは【エコーロケイト】だと思われる。

 二つの出土品(PTデバイス)を吸収したようだ。

 最初は【アクセラレーター】だけしか吸収できなかったことを考えると、アテラの言う通り超越現象(PBP)が成長したということなのだろう。


「吸収した出土品(PTデバイス)を使っていけば、もっと容量が増えそうです」


 彼女は誇るように緑色のディスプレイに【( ̄ー+ ̄)】と表示させて胸を張る。

 いずれ本当に万能ガイノイドになりそうだ。

 そんなことを話しながら通路を歩いていると――。


「あれ。罠、停止しましたね」


 先が見えなくなる程に照射されていたレーザーがとまり、見晴らしがよくなった。

 その状況に疑問を抱きつつ次なる広間に出ても機獣も襲ってこない。

 どうやら二度にわたって切り抜けられ、管理コンピューターが学習したようだ。

 生半可な攻撃は資源の無駄と判断したのだろう。

 冷静で合理的。

 だが、本当に追い詰められていたなら破れかぶれで全戦力を投入してくるはず。

 つまるところ何か逆転の一手があり、それに全てを賭けたと考えるのが妥当だ。

 だから全く反応がなくなった遺跡の中を、逆に慎重に進んでいく。


「恐らく、この先が最深部です」


 やがて【エコーロケイト】で判断したのか、アテラがそう告げた。

 更に通路を行き、再び広間に出る。

 すると、そこは今までとは全く趣の異なる雰囲気を湛えていた。

 壁面に系統樹のようなラインが刻み込まれており、そこを光が通っていく。

 SF的でもあり、ファンタジー的でもある。

 ゲームに出てくる正に超古代文明の遺跡のようだ。


「けど、何もないな」


 明らかに異質な気配を湛えつつも機獣も罠も影も形もない空間。

 そう思った次の瞬間。

 正面奥の壁が振動と共に中央から開き、カプセル状の何かが奥から現れた。

 その中に入っていたのは……。


「ガ、ガイノイド……?」


 いくつものケーブルが接続された、一体の精巧な少女型の機械人形だった。

 直後、何らかの白い気体が放出される音が響き渡ると共にカプセルがゆっくりと開き、続けてケーブルが激しい音を立てて勢いよく外れていく。

 そして彼女は双眸を静かに開き――。


「侵入者に死を」


 抑揚なく告げると、確かな足取りでマグ達の方へと歩き出したのだった。

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