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一歩の重さ  作者: burazu
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張り切る父

 一輝は研究会と指導対局のお願いをするべく佐藤神田道場の席主である佐藤春秋と電話越しでの交渉をしていた。


 その春秋からいろんなことを尋ねられて答えていた。


「それで先生、その研究会にはどなたが来られるんですか?」

「はい、私と真壁五段、鎌田女流三冠と奨励会員が1名の計4名でうかがわせて頂きます」


 その発言を聞いて春秋がメモをとっていると一輝が更に説明を続ける。


「指導対局は僕と真壁五段、鎌田女流がしますので、それとは別で奨励会員の詰将棋に挑戦するコーナーも用意しようと思います」

「ふむふむ、それで日程は……はい、ええ分かりました。お待ちしております」


 そう言って春秋は電話を切り、話を終えた一輝は再度天馬に連絡をする。


「もしもし天馬か?俺達が元々予定していた研究会の日に指導対局もできることになったぞ」

「そうか、じゃあ鎌田さんと村田君には俺から連絡しておく」

「待ち合わせはどうする?」

「そうだな、俺のアパートの最寄りの駅でいいんじゃないか、そこからならその道場もそう遠くないだろう」


 天馬がそう言うと一輝は了承し、電話を切る。


「分かった。それじゃあそうしよう」


 一輝は電話を切ると再度パソコンで将棋の研究を再開した。


 一輝が天馬に連絡していた頃、春秋は張り切ってパソコンでポスター制作にいそしんでいた。


 その父に娘である梢子が声をかける。


「お父さん、急にどうしたの?なんかすごく凝ったポスター作ろうとして」

「あたり前だろ、プロ棋士が指導対局に来るんだ。お客も多く来るようポスターを作んねえと」

「でもお父さんって今までそういう事にあまり積極的じゃなかったじゃない。だからちょっと不思議だったのよ」


 梢子の言葉を聞き、あまり梢子が見ない神妙な面持ちで春秋は語りだす。


「梢子、今までお前にはしっかりと話してなかったがいい機会だから話しておこう、父さんは奨励会を辞めることになった時にプロの将棋界どころか将棋そのものを憎んだ時期があった」

「え?そうなの」

「なんで俺は将棋なんかと会っちまったんだ。将棋と会わなければこんな惨めな思いをせずにすんだんじゃないかと思ったりもした」

「でもそれならどうしてアマの大会に出たり、私に将棋を教えてくれたの?」


 父が明かす思わぬ思い。春秋は梢子に何を語るのか?

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