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一歩の重さ  作者: burazu
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棋光戦1次予選

 5月に入り、名人戦が開幕されてから1か月が経とうとしていた。第1局こそ赤翼名人が勝利したものの。2局目は吉住八段が1勝を返し、一進一退の番勝負は現在も継続中だ。


 先日名人戦を観戦した一輝にとってはまだ名人戦そのものは遠く、目の前の1局を大事にしていかなくてはならないのだ。


 その一輝は本日棋光戦という棋戦の1次予選に臨もうとしていた。


 赤翼名人はこのタイトルも保持しており、6月からは棋光戦の番勝負も控えていた。


 しかし一輝は今年の挑戦権ではなく来年の挑戦権をかけた予選に臨んでいるので、実際に赤翼棋光と対局できるかは未定だ。


 そして今日は一輝はいつになく緊張している。理由は2つだ。1つは棋光戦の1次予選は持ち時間が1時間という比較的短めの将棋であり、1日に2局することもある。


 その変則的な時間で将棋を指すという事ともう1つの理由が今一輝の前に現れた。


 彼女は鎌田美緒女流3冠であり、現在奨励会三段でもある。


 女流タイトルは現在6つあり、彼女と宮里春香女流3冠でちょうど半々に分かれて所持しているのである。


 彼女は女流棋士ではなくあくまでも奨励会三段という立場の為、参加できる棋戦は限られるが、その限られた女流棋戦でタイトルを獲得し今回の棋光戦も女流枠での参加資格を獲得したのだ。


 一輝が緊張しているのもプロ入り後初公式戦での女性との対局ということもあるのだ。


 鎌田は一輝より3歳上の20歳ではあるが、三段には一輝のプロ入り後に昇段した為、あらゆる練習将棋も含め初対決なのだ。


 その鎌田が一輝の座り位置に違和感をおぼえた為、声をかける。


「あの……長谷……先生」

「はい?」

「今日の私との対局、先生は上座ですよね?」


 一輝も一瞬ハッとするが、すぐに言葉を返す。


「ああ、でも鎌田さんは女流タイトルを多く所持されているし、上座へ座ってもいいのでは?」

「いえ、私は奨励会員、長谷先生はプロの先生なんですから、長谷先生こそ上座へ座るべきです」

「いや、鎌田さんが」

「いえ、長谷先生が」


 記録係も2人のやり取りに戸惑っており、そこに観戦記者の男性が現れ2人に声をかける。


「譲り合いの精神は良いんですが、一応様式も守っていただきたい。長谷四段私らとしてはやはり長谷四段が上座に座るべきだと思います。それでよろしいか?」

「はい」


 上座下座の譲り合いから始まった本局。結局本来の様式に従い一輝が上座に座ることとなったが果たして対局の行方はどうなるのか?

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