酔った勢い
一輝と小夜はそれぞれ将棋連盟の佐渡会長より話があると将棋会館に呼ばれ、連盟職員である今永に会長室まで案内され、今永が会長室のドアをノックし、中にいるであろう佐渡に呼びかける。
「失礼します、会長、長谷四段と牧野女流初段におこしいただきました」
「入ってもらってください」
「お2人共、どうぞ、あとは会長からお話を聞いてください」
今永に促されて一輝と小夜は会長室に入り、ソファーに座っている佐渡に声をかけられる。
「ようこそお忙しい中おいでいただき申し訳ありません。どうぞお座りください」
佐渡に促されて一輝と小夜もソファーに座り、一輝から佐渡に尋ねる。
「あの会長、今日は僕達にどのようなご用件で呼び出したんですか?」
「まずはあの人から説明してもらいましょうか」
「あの人?」
佐渡が言うあの人という言葉に一輝が疑問を感じていると、会長室のドアが開き、その方向に一輝と小夜が振り向くとそこには一輝達の見覚えのある人物がいた。
「師匠⁉」
「諸見里先生⁉」
突如会長室に現れたのは一輝の師匠である諸見里九段であり、何故自分の師匠が今この会長室にいるのかに戸惑っていると、佐渡が諸見里に声をかける。
「諸見里さん、まずは諸見里さんからお弟子さんに事の経緯を説明してください」
「……はい……」
どこか浮かない顔をしており、諸見里は次の瞬間頭を下げて一輝と小夜に謝罪する。
「すまん一輝!小夜ちゃん!わしのせいでとんでもない事になってしまった!」
「え!一体どうしたんですか師匠!」
「とりあえず何があったか説明してくれますか」
一輝達に促されて諸見里は頭を上げて説明する。
「ほら、わしの学生時代の同級生に今は小学校の校長をやっている奴がいるだろう」
「いや、知りませんよ。っていうかそんな話今初めて聞きましたよ」
「そ、そうだったけか、この間久しぶりに会う事があって一緒に飲んでお互いにベロンベロンに酔ってしまってな」
「まさか、何かやらかして今警察に呼びだされそうとかそんなんですか?」
一輝は師匠の諸見里がまさかの酔った勢いで犯罪行為をしてしまったのではないかという考えが浮かんだが諸見里は即座にそれを否定する。
「そこでな、その校長からお前を呼んで将棋教室を開きたいって言ってきたんだ、あいつも将棋好きで子供達に広めたいと言っていたからな」
「待ってください師匠、まさか……」
「思わず、いいよって言ってしまった」
「えええ!何やってんですか師匠!」
酔った師匠の発言に振り回される一輝、この事態にどう収拾をつけるのか?




