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Dead Planet  作者: 尸音
8/48

1-8

「あいつらさっきから何騒いでんだ?」


「放っておけばいい。私らだって最初は取り乱してたじゃないか。」


リディとエラミルは棚の奥で備品を整理していた。


「それで、武器はどう?」


「ああ。拳銃とその弾は腐るほどある。実際、マガジンの何本かは錆び付いて使えなくなってた。」


エラミルは錆びたマガジンを5本ほどリディの前に置いた。


「なるほど、アイツらと戦ってなくても…か。」


「で、ショットガンと、弾はシェルが36発。」


「地上は広いからな。正直有用性は低いぞ。」


エラミルは少し不機嫌そうに「分かってるよ。」と言い、続けた。


「サブマシンガンは500発マガジンが9本。空マガジンが2本あった。」


「なるほど。ライフルは?」


「ライフルは弾も含め、お前が持ってるヤツだけだ。」


リディは思わず背中のライフルを抜き取り、ながめた。


「弾は58発あった。」


ライフルを背中に戻しながらリディが報告した。


「で、食いモンはどうだった?」


「缶詰が20箱、スナック菓子が62箱、飲料水が85箱だった。」


「賞味期限は?」


「ほとんど切れてるよ。分かってるでしょ?」


「…まぁな。それよか、3人も入ってきちまったけど。」


リディは少し笑いながら返事をした。


「しばらくは心配ないよ。水が本格的に腐らなければね。」


「おいおい、冗談じゃねえぞ…。」


「そうだな。冗談じゃない。」


リディは急に真剣な顔つきになって言った。


「そろそろ供給しないと、毎日下痢しまくることになるぞ。」


「この倉庫に来るのがもう少し早ければね…。無駄になる分も少なくて済んだんだけど。」


リディ達は3ヶ月前にこの星に降り立ち、この倉庫にはその3日後にやってきた。


最初は点々と民家に隠れながら移動し、餓死を覚悟しかけた時にこの倉庫を発見したのだ。


だがその時点で放置されていた食料の状態は良くなかった。


それでも今までは体調を崩すほどではなかったのだが、昨夜、水の1本にカビが生じていた。


「この近くでまともな食いモンにありつけそうな所は?」


「一応大分前から見当はついてたんだけどね。これ。」


リディは1枚のボロボロの紙を取り出し、エラミルに渡した。


「……食料販売専門………ドッグロードビル?」


「ああ。就職案内のビラだ。ここから西に30kmらしい。」


「らしいって…。30kmも歩くのか?」


「いや、いくら何でも足がもたないよ。」





一瞬の沈黙。





「いやいや…。―――じゃあどうすんだよ?」


「上にガレージがあっただろう? 車があれば使わない手はない。」


「無かったら?」


「別の手を考えるさ。」


「誰が確認するんだよ?」



エラミルが言ってすぐ、2人は顔を見合わせた。




数秒後、無言でじゃんけんをし、負けたエラミルが行くことになった。




「―――くそったれ。」



毒づきながら外へ出る。


相変わらず外は酷い腐臭だ。


裏口から静かに外へ出ると、ゾンビはまだこちらに気付いていない。



「良い子だ…。」



エラミルは余裕で呟きながらガレージの方へと回った。


シャッターは開いており、そのまま中に入って運転席を覗き込む。



鍵は差しっぱなしだ。


恐る恐るノブに手をかけると、鍵はかかっていない。



「ラッキー。」


また呟きながら来た道を戻っていく。




ふと見ると、ゾンビの1体が思い切りこちらを睨んでいた。



「よっ。」


指で挨拶すると、怒ったように吠えながらこちらへ走ってくる。


エラミルは慌てずナイフを抜き、飛び掛ってきたそいつの喉目掛けてナイフを掲げた。



ズブッ



鈍い音がしてゾンビは空中に固定された。


血が噴水のように噴き出してエラミルに浴びせかけられる。





やがてバタバタと動かしていた手足も動かなくなった。



ソイツの腹に足をかけて押し出すと、無造作に地面に倒れた。



「きったねぇな…。」


エラミルは周辺のゾンビに気付かれる前に家の中に戻った。

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