最終章 脱出 ~La Fin~
「さて、感動の再会が終わったらさっさと脱出だ。」
エラミルが言った。
「ここの荷物は全部食べ物なんでしょうか?」
「だろうな。ていうかその前に、倉庫の奥の方を見てくる。ゾンビが入ってきそうな所とかあったら見張りが必要になるからな。」
「あ、なるほど。」
珪都が頷いた。
「その必要が有ったら呼ぶよ。さっきので、大声出せば聞こえるのは分かったし。お前らは適当にそのトラックに積んでおいてくれ。」
「分かりました。」
2人が同時に返事をすると、エラミルは倉庫の奥の方へ走っていった。
その背中を数秒眺めた後、珪都と優香は荷物の積み込みを始めた。
1番手近にあったダンボールを開けてみると、やはり缶詰だ。
それだけ確認してトラックの荷台へ運ぶ。
優香も同じようにして仕事を進めた。
エラミルは十数メートル走って最奥へ到達した。
左手に正方形のスペースがあり、開いている扉があった。
別に壊れている訳でもなく、鍵も簡単にかけられるものだ。
エラミルはそこを封鎖すると、奥の壁にもう2つ扉があるのを見つけた。
近い方は普通の扉だが、奥の方は大きな両開きの扉だ。
近い方のノブに手をかけると鍵がかかっていなかったので、慎重に開けてみる。
――――――
エラミルの目に飛び込んできたのは、大型の宇宙船だった。
――――――
「ケイト!!! ユカ!!! こっちに来てみろ!!!!!」
エラミルが興奮気味に呼ぶので、珪都と優香は何があったのだろうと思いながら走ってエラミルの元へ行った。
そして宇宙船を目にして一瞬言葉が出なかった。
「最高だ、もしかしたら俺たち、この星から出られるかもしれねえぞ。」
「ほ、本当に、この地獄から…!?」
珪都も先ほどのエラミルと同じ調子で言った。
優香も笑顔が隠しきれていない。
「よし、急いでこの宇宙船に食いモンを積み込むぞ。幸い死体も無かったし、唯一の扉には鍵をかけた。3人でやればすぐだ。」
「はい!!!」
2人の返事は今まで聞いた全ての返事より元気だった。
―――――
コッチカラ……ニオイガスル………
……ナツカシイ…
ドノシタイヲミルヨリ…………ヤツラニアイタイ……
オナカスイタ




