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Dead Planet  作者: 尸音
40/48

5-5

エラミルは時々振り返って追ってくる群れを攻撃した。



だが、そのうちそれさえももはや無駄だと気付いた後は走ることに専念した。




時々前方に現れるゾンビは倒すしかない。


囲まれてしまわないのが不思議なほどだった。



ルーベクが見るからに疲労して徐々にスピードを落とす。


「喰われたくなきゃ走れ!」


エラミルが叱咤した。



3人は適当な部屋を見つけてまた立て篭もろうと考えていた。



だが、なかなか適当な部屋が見つからない。


というか、手当たり次第に開けようとした扉全てが施錠されていた。



エラミルが久々に射撃している間、珪都が前方の扉に手をかけた。


鍵がかかっていなかったので扉は思い切り開いた。



―――そしてまたゾンビが大勢飛び出してきた。



「うわあぁっ!!!」


「珪都!」


珪都が何本もの手につかまれて扉の向こうへ引きずり込まれそうになっている。


エラミルがその手をまた掴んで引き剥がそうとしながら、扉の向こうから出てきたゾンビを撃ち始めた。


よく見ると扉の向こうはまた廊下が続いている。



後ろから追いかけてきたゾンビとは多少距離があるとはいえ、数秒のうちに追いつかれてしまう。


「クソっ…! 離せゴラッ!!!」


エラミルが罵声を浴びせるが、それは何の攻撃にもならない。


珪都も必死で抵抗する。


ここぞとばかりに距離をつめるゾンビ。



エラミルは追いかけてくる大群の方を見て、何か足止めの方法を考える。




火の類はない。



防火シャッターのようなものもない。



もう、一目見て何もないのが分かる。




「ルーベク!!」


エラミルが叫び、何も出来ずにいたルーベクが驚いてエラミルの方を見た。


「ゾンビを押して向こう側へ行く! 一緒に入って鍵を閉めろ!!!」


その指示は珪都とルーベクを同時に驚かせた。



そして、すぐにエラミルは珪都を掴んでいる3体のゾンビを廊下の方へ押しながら自らも廊下に入った。


もちろん珪都も引っ張られていく。



1人残されたルーベクはようやく状況を理解し、ついていって扉を閉めた。


鍵が無かったため、1人で必死に群れの突撃を抑えた。




珪都を引っ張っていたゾンビはなおも珪都に咬み付こうと必死に口を開ける。


「この…!」


エラミルがその口に銃口を押し込み、引き金を引く。


1体倒すと、残ったゾンビが空いたスペースを利用して近付こうとしてくるので油断ならない。



結局両手を掴まれている珪都はとにかく咬まれないようにして、残り2体のゾンビをエラミルが順に倒した。




…と、休む間も無くルーベクが扉を抑えるのを手助けし始めた。



「この扉、鍵が無いんだ!」


「くそ、仕方がない…。珪都! 俺のブットパックから手榴弾を出して俺に渡してくれ!」


「!? わ、分かりました…!」


珪都はエラミルの尻部分のポーチからドッシリとした手榴弾を取り出し、エラミルに渡した。



「よし、俺が良いというまで2人で抑えてろ!!」


エラミルは手榴弾を持って扉から離れる。



数m離れたところでエラミルは振り返った。



小さく自分を落ち着けるための呼吸をして、叫んだ。








「今だ、走れ!!!!」








2人は弾丸のようにその場を飛び出してエラミルの方へ走ってくる。



同時にエラミルは手榴弾のピンを抜き、2人の間のスペースへ投げた。



そして、体勢を立て直すと同時に追いついた2人と一緒にエラミルも方向転換して走り出した。







手榴弾は扉が開いてすぐ、入ってきたゾンビたちの足元に落ちた。



















――――――――――



















今まで聞いた事もないような、体中を振動させる凄まじい爆音が轟く。













それと同時に、凝縮していたのが一気に弾けたような爆炎が、死人たちを在るべき場所へと還すように飲み込んでいく。



















強すぎる衝撃は逃げていく3人を背後から襲った。








位置が近すぎてエラミルでさえ耐えられず、3人はその場に倒れた。











轟音と灼熱がひくと、今度は3人の耳が耳鳴りで使い物にならなくなった。





だが、視界は開けている。






3人は必死で立ち上がり、走り出した。





今の爆発でゾンビの軍団はほとんど壊滅し、追いかけてくる余裕があるのはごく少数であるのに3人は気付かなかった。



爆風で足が千切れてしまった個体や、半身がそれぞれ分断されてしまった個体もいるが、追いかけてくることは出来ない。





…ただし、追いかける意欲だけは全く削がれていなかった。










――――――










3人はしばらく走って追っ手がいないのに気付くと同時に、また目の前にゾンビ道が現れたのに歓喜した。



感性はやはり異常になってしまっているが、今更気にする事ではない。





3人はゾンビ道に沿ってまた生き残った方の捜索を再開した。


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