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Dead Planet  作者: 尸音
37/48

5-2

エラミルは勢いよく最初の部屋の扉を開け、地面に散らばる書類をかき集め始めた。



珪都は火の持ち手になりそうな棒状のものを探す。


ルーベクは燃料を探した。



しばらくしてルーベクはキッチンからサラダオイルの残りを見つけた。


いくら腹が減っても油だけでは食べようがないから少量残っていたのだ。




棒状のものは中々見つからなかったが、そのうち掃除用具ロッカーからエラミルが木製のモップを取り出し、何度か机の角にたたきつけて丁度いい長さに折ったものを使うことにした。


「これ、火が回って持てなくなったりしませんか…?」


珪都が心配して聞いた。


「まぁ、火は上の方へ上ってくっていうし、大丈夫だろ。」


エラミルが一蹴しながら松明を仕立てる。


数分のうちに立派な持ち手の松明が3本完成した。



1人1本ずつ手に持って扉の前へ来た。


「いいか? いくら防御できるとはいっても万全じゃない。なるべく急ぐぞ。」


「はい。」


「ああ。」


3人が意を決した時、エラミルが扉を開いた。



すぐの角まで来て様子を見ると、先ほどよりは敵の数が少なくなっていた。



「掴まれないように気をつけろ。」


エラミルが言う。


更にルーベクが付け加えた。


「万が一つかまれたらソイツの頭に松明を押し付けるんだ。すぐに苦しんで手を離すはずだ。」


2人は頷き、角を曲がった。




早速こちらに気付いたゾンビだが、今までと反応が全く違った。



襲い掛かろうとしないどころか、後ずさりのように少し距離を取ろうとさえしている。


火の効果は予想以上だった。



「油断するな。敵はどんどん増えるんだ。」


エラミルが険しい顔でゾンビを睨みながら言った。



3人は松明を前方へかざしながらじりじりと先へ進んでいく。


敵は確かに増えていく。


だが、それは3人を取り囲む壁を徐々に厚くするように集まるだけで、一向に襲い掛かってくる気配はない。





このまま行ければ安全に優香を探す事が出来る。




「…あの。」


珪都が口を開いた。


「何だ?」


自然と小声でエラミルが答える。


「この大群、どこかでまかないと、優香たちを見つけたときに優香たちが危険にさらされる可能性が…。」


「……そういえばそうだな。」








突然ルーベクが叫んだ。








「こ、ここは―――マズイ!! 走れ!」




「!?」



走り出す間も無く、天井の防火装置が作動し、何かガスが噴き出してきた。



「な、何だこりゃ!?」


「二酸化炭素だ! 吸うな! いいから走…」



研究者が叫びながら周囲を見渡して気付いた。



逃げ道がない。


四方をゾンビに囲まれている。



「クッ…!」


エラミルが松明をルーベクに渡し、マシンガンを取り出して撃ち始めた。



火が完全に消えるまでに活路を開かなければならない。


珪都もエラミルが攻撃する同じ方向を攻撃した。



まだ火は消えていないが、こんな小さな火では酸素不足になればすぐ消えてしまう。


そもそも、二酸化炭素が放出されているこの場所に留まり続けたら自分達が中毒で死んでしまう。



「何でここの消火設備だけが…!」


「分からんがこの装置だけ生きていた。この火を感知してライトがついたのを見て私も初めて気付いた!」




ゾンビが少しずつ臨戦態勢に入っていくのが見える。










――――火が消えた。











「グアアアアア――――――――――――ッ!!!!!!!」



「南無三!!!」





エラミルが何かを床に投げつけた。








瞬時小さな爆音がして、辺り一面を目が潰れそうなほどの閃光が覆った。



閃光手榴弾だ。


幸いゾンビには効果覿面だったようで、大群の前の方が動けなくなったことで後ろの方の個体もこちらに近づけない。



そして、攻撃していた方面には目が眩まなかったヤツがいなかった。


だが、指示がなかったせいで珪都とルーベクも視界を奪われた。



エラミルは2人の手を引いて無理矢理走り出した。





その場には先端にこげ跡のついた木の棒が残された。



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