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Dead Planet  作者: 尸音
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第5章 合流 ~Reunion~

「―――なるほどな。」



エラミルは一通りの質問を研究者に投げかけまくった後、その返答を整理した。




研究者の名前はルーベク。


彼の話では、この花粉はある日を境に自然発生し、徐々に広まっていったらしい。


感染者は確実に死亡するため、この会社が独自に薬を作って一攫千金を狙ったという。


だが、感染の拡大に研究が全く追いつかず、結局惑星が汚染されきった後でようやく少量の薬ができたということだ。



「薬は確かにあるんだな?」


「ああ、だが、量的には1人分だ。2人以上咬まれれば1人は確実に死ぬ。」


「実はもう1人咬まれてるヤツがいる。ソイツを助けるために薬を探してるんだ。」


エラミルが強い調子で研究者に詰め寄った。


「…ソイツは咬まれてからどのくらい経ってる?」


「咬まれたのは昨日です。」


珪都が素早く答えた。芳樹が助かる可能性を知りたい一心からだった。


「……早い人では数時間で完全にゾンビ化する。運が良ければ2~3日持つが、1日以上経って薬が効く保証はない。」


「だが希望はある。助からなかったらそれまでだ。俺らが咬まれなければ良いんだろ?」


エラミルは言いながら先ほどホルスターにしまった銃をまた抜いていた。



「あ、ああ…、そうかもしれんが……。」


ルーベクは自分が咬まれた時にその薬が自分のために使われないのではないかを心配しているようだ。



エラミルにはルーベクがお荷物になるとしか思えなかった。


戦力にはまずならないし、下手をするとこいつを助けるために自分達が危険にさらされるかもしれない。


かと言って、ルーベクも助かりたい気持ちは全く同じ。見捨てるのはあまりに残酷だ。




「よし、取り引きだ。」


エラミルがこう言った瞬間、ルーベクと珪都は同時にエラミルを見た。


ルーベクは落胆を、珪都は驚きを、それぞれ表情に表している。



「お前を助けてやる。と言っても、一緒に行動して援護してやるだけだがな。その代わり、薬をよこせ。」



エラミルが差し出した手に、ルーベクの震える目線が移った。


「さもないと、俺はお前をここで殺して薬を奪ってくぞ。」


珪都はエラミルの提案を止めようとした。


だが、その薬さえあれば芳樹が助かるという光を見過ごしたくなくて、自分を抑え込んだ。



「わ、分かった。どうせアンタに殺されなくてもここに留まれば死んでしまう。薬は渡そう。」



ルーベクはベッドの横の小さな棚の引き出しを開けた。


開けてすぐ現れた金属のプレートには端末が付いていて、ルーベクがそのキーを叩き出す。


すぐに金属はスーッと奥へ引っ込み、その下に随分ご大層に収納された1本の試験管が現れた。



ルーベクはそれを取り出し、エラミルに手渡した。



「大丈夫だ。ガラスもフタも特殊な加工がしてある。ちょっとやそっとの衝撃や圧力では壊れはしない。」


「なるほど、見た目以上に重いな。」


エラミルが受け取った試験管を持った手を上下に揺らした。



その中で揺られる透明な液体は、見た目には普通の水と何ら変わりはない。


あれが芳樹を助けることの出来る唯一の液体。


そう思うと、珪都は早くソレを芳樹に届けたくてソワソワし始めた。



エラミルはそれをウェストポーチにしまい込んだ。



「さて、じゃあここを出るか。…と言いたいところだが、外はゾンビだらけなんだよな。」


「頼むぞ、私はアンタ達に助けてもらうという条件でその薬を渡したんだ。」


「分かってる。だが廊下は一本道だし、どうやって回避しようか…。」



3人はしばらく考え込んだ。


数分後、ルーベクが口を開いた。


「そうだ、ヤツらは植物だからか、火には近づけないんだ。何か物を燃やしてそれを手に持って歩けばいくら大群でも奴らには近付かれないはずだ。」


「…なるほどな、名案だ。」



松明のようなものを仕立ててそれを振りかざしながら進むという、一歩間違えれば全滅しかねない案である。


だが、真っ向勝負では負けは見えていた。



3人は早速準備に取り掛かった。


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