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Dead Planet  作者: 尸音
17/48

2-3

優香の腕にしがみついていたゾンビの額にナイフを突きたてた後、リディはすぐにまた射撃体勢に入った。



リディはライフルで命を奪うことに慣れている。




―――それが生きているか死んでいるか、どれほど仕留めても怯むことなくこちらに向かってくるか否かの違いはあるが。




ライフル弾を撃ち放ち、ゾンビの額に風穴を開けるたびにリディは無意識になっていく。


どれほど倒しても数が減らない―――むしろ増えていることに不自然さを感じないほどに。



以前からリディはライフルを手に戦っていると徐々にその動作を意識せずに行なうようになる。



そしてその意識は考え事の方へ費やされるのが常だった。


今リディは、数年前から数ヶ月前のことを思い浮かべていた。




――――――




リディは小さい頃から、勉強が大の苦手だった。


体育教科だけは必ず成績がAだったが、他の教科は頑張っても良くてC、普通はDかEあたりをちらほらさまよっていた。(リディが通っていた学校の成績はA~Eの5段階評価だった)


両親には「運動神経だけが良くても仕方ない」と散々怒鳴られ、罵られた。



徐々にリディは落ち着きを失くして学校で暴力事件を何度か起こした。


時には教師を3人、叩きのめした事もあり、暴力事件のたびに両親は呼び出され、それが両親のリディに対するイライラを余計増幅させていった。



だが両親はリディに手を出さなかった。


下手をすれば自分達がボコボコにされることを分かっていたから。


だから言葉でリディを追い詰めていった。




その後、リディは反動で完全に無気力になり、学校に行かなくなった。


両親はそんなリディに構わなくなり、簡単な食事と水だけを与える状態となった。


リディには、自分が何で生きているのか分からなくなっていた。




ある夜。



トイレに行きたくなって目が覚め、部屋を出た。





―――扉を開けた瞬間から、凄まじく生臭い、鉄の匂いに襲われて鼻を覆った。


リビングは赤黒くなっていた。



肉塊と化した両親が倒れていて、タンスの引き出しを漁る黒い服装の男が1人。



リディは驚きこそしたが、恐怖はなかった。


コンコンと壁を叩いて自分の存在を知らせ、リディに驚いた強盗がナイフを持って襲い掛かってきたのを投げ飛ばした。



強盗をふんじばってからリディは落ち着いて警察を呼んだ。




その時、リディは自らの身体能力で生きていく方法を見出した。





すぐにリディは軍への入隊を志願した。


若すぎる上に女だからとまともに取り合ってはもらえなかったが、粘りに粘ってとりあえずやるだけでもと行なわれた臨時の入隊試験でリディの体術を目の当たりにした軍人達は即座にリディの入隊を許可した。


しばらくは訓練訓練で任務は何一つ無かったが、自分が強くなっていく事、そして銃の扱い方を心得ることでリディは自分が覚醒していくのに気付く。



そうして初任務以降全ての任務で順調に功績を挙げ、軍内での地位をある程度確立させていった。



生きる意味は相変わらず分からなかったが、リディには自分の能力が認められている現状だけで満足だった。




エラミルとはほとんどの任務で一緒に行動していたため、お互いの境遇を語り合う仲になった。


聞いているとエラミルもリディと似たような過去を背負っているらしい。


そのため、余計2人は理解し合えた。



リディの底知れぬ人間不信のため、恋には至らないが、良き戦友である。




だが、ある日リディ達に課せられた任務が、この悪夢の元凶となった。







それを思い出した瞬間、リディが放った弾丸は初めて外れた。










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