第2章 闘走 ~Chase~
エラミルが車を確認するのに使った裏口から、4人は固まって外へ出た。
1人ずつ出た方が見つかりにくいのではと珪都が提案したが、「1人ずつ出ても見つかる可能性が0じゃないなら、見つかった時に対処しやすい方を取るべきだ」とエラミルに却下された。
昨日はあれほど集まっていたゾンビが、もう既に分散している。
少し遠くでうろつくヤツを見ていると今にも目が合いそうだったので、優香はずっと地面を見ながら進んでいた。
幸い見つかることはなくガレージへ到着し、珪都と優香はホッと溜息をついた。
―――リディとエラミルは見つかるワケが無いといった様子である。
見つかる可能性は0ではなくとも、彼らの中では限りなく低いらしかった。
ドアを出来る限り静かに開閉するようにしながら、エラミルが運転席、他3人は後部座席に乗り込んだ。
助手席には予備の武器が大量に置いてある。
後部座席は、右側に優香、左側に珪都が座り、真ん中に無理矢理リディが入って天窓から体を出していた。
「私はここから狙撃する。アンタらはそれぞれの窓からしっかりね。」
「は…はい。」
珪都が緊張気味で答えた。
昨日教えられたとおり、銃をいつでも撃てる状態にした。
カチャンという作動音が嫌でも珪都と優香を恐れさせる。
「じゃあ……行くぜ!」
エラミルが言い、エンジンをかけた。
さすがに大きい車だけあって、エンジンがかかる音も世界中に響いているようなボリュームを感じさせる。
そして、勢いよく発進し、荒野を駆け抜けた。
早速目につく全てのゾンビがこちらに気付いたように、吠え、走り出した。
珪都が今まさに撃とうとした瞬間、別の誰かの銃声が響き渡り、1体のゾンビが倒れた。
正確さと決断力からしてリディしかいない。
もう戦闘は始まっていた。




