#18 彼女らは思い立ったら即変身することにした
春原、秋山、紫苑の三人はそろそろ変身しようかどうしようか悩んでいた。
しかし、3年5組の生徒達を教室に戻させるようなことはしたくない。
なぜならば、中間テストを終え、ずっと楽しみに待っていた卒業アルバムの写真撮影を台無しにしたくないと思ったからだ。
「ちょっと教室に戻ってくるね」
「俺は職員室に……」
「私も生物準備室に」
彼女らは畳みかけるようにそれぞれ嘘をつき、別々の場所に向かう。
その時の生徒達は三人がなぜ校舎に戻るのかが気になっていたが、そのことには誰も触れなかった。
*
爽やかに職員玄関に向かっている秋山を横目に紫苑は昇降口まで走っている。
誰もいない教室に戻ってきた彼女は息を整えながら速やかに自席に向かった。
彼女は通学鞄からバトンを取り出し、ゆっくりと回し始める。
「All my friend forever!」
それは宙を回っているのと同時に身体もくるくると回りつつ、頭から変身していく――。
今回は回転が速いため、おそらく短縮バージョン。
「……ふっ……」
そして、回り続けていたバトンを右手で取り、変身が完了したようだ。
「変身完了! ボクはニャンニャン刑事!」
先ほどまでの女子高校生はおらず、一人の少年らしき人物が立っている。
その人物は銀髪で白いラフな服に黒いラインらしきものがついており、何かを固定するためのベルトが締められているような服を着ていた。
「さて、急がなければ……」
ニャンニャン刑事はそのように呟く。
彼は他のクラスの生徒や教師に見つからないよう、立ったりしゃがんだりしながら、走って昇降口へ向かった。
*
一方、春原は生物準備室に到着したが、そこには数人の教師が授業の準備に追われていたため、仕方がなく化学室へ向かう。
「Please give your dream!」
彼女は化学室の中央に立ち、右手で指をパチンと鳴らし、眩い光に包まれて足元から変身していく――。
どうやらこちらも短縮バージョンらしい。
「変身終了! 私は謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサ!」
先ほどまでと同じ白衣を着た女性だが、彼女は春原ではなく、謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサという人物だ。
ちなみに、彼女は白いロングワンピースと無駄に裾が長い白衣を着ているため、あまり変化がない。
「急いでキザ怪盗をこの学校から追い出さなくちゃ!」
ミサは階段の手すりの上を滑り降り、きれいに着地したが、呑気に歩いているニャンニャン仮面に見られてしまい、恥ずかしい思いをしたため、慌ただしく職員玄関に駆け込んだ。




