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#15 生徒達が浮かれているのは?

 入学や進級後のはじめての中間テストが終わり、一週間くらい経過した五月の金曜日の朝のショートホームルーム前――。

 紫苑が属している3年5組は女子生徒は三十一人に対し、男子生徒は二人という男女共学にも関わらず、アンバランスなクラス編成。

 教室内では普段よりなぜか浮かれているようだ。

 教卓には今までに卒業していった先輩達の卒業アルバムが数冊置いてある。


「ねえ、どのポーズをして写真を撮ってもらう?」

「あの写真と同じように撮ってもらいたいな!」

「それ、いいね!」

「うちはそうだね……あーして、こーして……」

「あっ、いいじゃん! そのボーズ、可愛いね!」

「やった! 褒められた!」

「ところでさ、このクラスでスタイルがいい人っている?」

「んー……どうだろう……」

「うちらが気にしてないだけで実際にはいたりするかもね」


 彼女らはそれらを見ながらわいわい話していたため、浮かれていると感じられたのだろうと――。

 その日の午後は卒業アルバムで使用される写真の撮影があるからでもある。



 *



 彼女らが楽しそうに話していたやさき、チャイムが鳴り響いたと同時に白衣を着た女性が教室に入ってきた。


「あーあ……チャイムが鳴っちゃった……」

「あっ、先生がきちゃってるよ!」

「ほれ! みんな、早く席に着いて!」


 その女性は教室中に響き渡るようなよく通る声でそのように言うと生徒達はわらわらと自席に着いていく。


「起立! 礼! おはようございます!」

「「おはようございます!」」

「着席!」


 紫苑の号令に合わせて他のクラスメイトがそれに倣う。


「今日の予定を言っていくよ。午前中は普通に授業を受けてもらって、午後の五限目と六限目はみんなが待っていた卒業アルバムの写真撮影があるから、きちんとした服装をしていくんだよ!」

「「はーい!」」

「さて、楽しい写真撮影の前は生物のテスト返しがあるからね!」


 至るところから彼女らの素直な返事が返ってきたら春原が悪戯な笑みを浮かべながら生徒達にそのように告げた。


「……げっ……」

「マジで!?」

「テストなんか返ってこなくていいし」

「先生。テスト返しは写真撮影のあとに変更できないのですか?」


 彼女らは不満そうにブーイングを起こしたが、彼女は首を縦に振らず、「……それは……」と口にする。


「……残念ながら、写真撮影の時間帯は決まっているから変更することはできないよ」

「そっかぁ……」

「大丈夫。このクラスはおそらく赤点はいないはずだからね!」

「ですよね?」

「だ、だよね……!」

「先生。それは嘘じゃないですよね!?」

「んー……どうかな? さて、今日も一日頑張ろう!」


 中間テストの結果が気になってしまっている生徒達をよそに、美沙はいつも通りの口調でそう答えると、速やかに教室から出て行った。

2018/12/15 本投稿

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