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新たな旅立ち

 お越し頂きありがとうございます!


 いよいよ本編スタートです!

【定期船サンクエトワール号 : 甲板】


「うわーっ! これが海!」


 何処までも広がる海原にリィナが笑顔を見せる。確かに俺も海を見たのは初めてだが、だからといってリィナの笑顔から目を離せるはずもない。

 

「私、海って初めて! フェイ兄は?」

「俺も初めてだよ、リィナ」  


 リーマスを出てから、リィナは俺のことを“フェイ兄”と呼ぶようになった。理由を聞いてもはぐらかされるのでミアに心当たりがないか聞いてみたのだが……


“私も頑張ります、マスター!” 


 といった瞬間、顔を赤らめて逃げるように何処へ行ってしまった……


 ちなみにレイアに聞くと、


“本人に聞いたら良いんじゃない?”


 と全く参考にならないアドバイスをされた。出来たらやってるわ!


(まあ、悪い気はしないけどな)


 きっといい変化があったのだろう。封印がなくなって、長年の胸のつかえも取れただろうしな。


「リーマスを出た時は、まさか海にまでくるとは思ってなかったな」


 リィナはクラウディアさん譲りの綺麗な金髪を波風に任せ、大人っぽく微笑む。今までこんな表情は見たことないな


(っ! 見惚れてる場合じゃ──)


「……俺もだ」


 俺の返答を聞いて優しげに微笑むリィナにはどこまで見抜かれてるのか……


(……っと、浮かれてばかりもいられないか)


 俺達が船に乗っているのは観光目的ではない。リーマスの冒険者ギルドから出されている長期クエストをこなすためだ。


(リーマスから南下して海路でアイツらを追う……か)


 アイツらと言うのは豹炎悪魔(フラウロス)を分割して生まれた……なんなんだ? 見た目は女の子だけど。


(そのうちの一体は今、ミアの中にいる……)


 そのミアは今、船室にいる。どうやらミアは船酔いする性質(たち)のようなのだ。


(ミアは天界に存在していた聖剣。船の揺れとは無縁の生活をしていたんだもんなあ)


 ちなみに今まで俺が世話をしていたのだが、今はレイアが変わってくれている。俺を気遣って……というのもあるが、俺が傍にいるとネアが肉体の主導権を奪って余計なことをしようとするというのも理由の一つだ。


(ネアは得体のしれない存在だが、根は悪い奴じゃないよな)


 生まれた経歴を考えるのならば結論は決まってる。だが、ネアには憎めない部分があるのも確かだ。

 

(生まれだけで全てを決めるのもな……)


 ちなみにネアの扱いについては今の所、俺に一任されている。まあ、これもルーカスさんの配慮だろう。


(本当に良くしてもらってるな……)


 ちなみにルーカスさんはあちこちに飛び回って俺達の旅のサポートをしてくれているらしい。本当に頭が上がらない。


(そう言えば師匠はどうしてるのかな)


 何だが旅に出るみたいな話をしていたが……まあ、またリーマスに戻れば出会えるんだろうな。





(アバロン視点) 


【定期船サンクエトワール号 : オール部屋】


(くそっ……あのジジイめ)


 ジェイドとかいう魔族が俺に課した修行はもはやしごきでしかなかった。いや、しごきという言葉さえ生ぬるい。あれはもう殺しに来てるな。


(だが、フェイには出来たとか言われたら逃げられないじゃないか!)


 まあ、それが無くても逃げるつもりはないが……殺してやろうかとは思うな。


「ア、アバロン兄! 俺、もう……」


 隣でオールを漕いているコイツはドレイクとかいう神官騎士だ。どうも不正をしたために国を追い出されたらしい。何をしたのは知らんが、馬鹿な奴だな。


(しかし、待て! オールを止めたら!)


 俺達がいるのは“サンクエトワール”とかいうでかい船の船底だ。辺りには大量にオールがあるが、いるのは俺達二人だけ。どう言うことかというと……その原因はあの魔族だ。


“お前ら、船で水上都市まで行ってこい!”


 とあのジェイドという魔族に言われ、ここに放りこまれたのだった。船で行けとはつまり、船を漕いで行って来いという意味らしい。

 

(冗談じゃない! 普通なら奴隷五十人で漕ぐような船だぞ!) 


 本当に何を考えてるのか……いや、今はそれはいい。二人でもきついんだ。一人になったらもうどうしようもない!


「頑張れ、手を止めるな!」


 と俺はドレイクを励ますのだが……


 ドサッ!


 ドレイクが突っ伏すように倒れる。すると……


 グググッ!


 途端に船が蛇行する。当たり前だ。俺とドレイクで左右を担当しているのだから。


(やばい、航路から外れる!)


 航路というのは安全に航海をするためのもの。つまり、その分危険が増す。極端な話、すぐ隣に魔物の巣があったり、岩礁地帯が──

 

 ドッカーン!


 轟音と共に船が大きく揺れる。しまった、岩礁か何かにぶつかったか!?

 ドレイクは神聖オズワルド共和国の神官騎士でしたが、ステータスを高めに報告していたことがバレて追放されました。その後、アバロンを連れたジェイド師匠に拾われています。第一章の39~44話に登場しています!


 読んで頂きありがとうございました! 次話は来週の月曜日朝7時に投稿します! ストックが溜まったら投稿頻度を上げていきたいと思います!


※大切なお願い

 皆様のブクマやポイントが執筆の原動力です。「あ、忘れてた」という方がおられたら、是非御一考下さいませ( ´◡‿ゝ◡`)

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