ターニングポイント
描いていると妙に楽しいアバロンサイド話なのですが、お楽しみ頂けてるでしょうか?
<アバロン視点>
「やっと俺達の番か」
やっとこさ目的地であるロッデオに着いたはいいが、門の前には出入りする人間の列、列、列…… 何だってこんなに混んでるんだよ!
「何でもヤバい薬草を国外に持ち出した奴らがいたらしく、検問が厳重になってるみたいだな」
あちこちで情報を集めたアーチがそう言うが……知ったことかよ!
「ねぇ……早くこれとおさらばしたいんだけど」
エスメラルダがそう言って荷物を蹴るのは、これが凄く臭うからだ。まあ、気持ちは分かる。分かるんだが……
「だが、これのおかげで荷馬車を借りれたんだ。あと少しくらい我慢しろ」
依頼主のジジイから借りた荷馬車は快適とは言えなかったが、歩きたがらないエスメラルダの文句を減らす効果はあった。まあ、それでもゼロにはならないんだが……
それから小一時間ほどエスメラルダの愚痴を聞き続けていると、ようやく俺達の番がやって来た。
「次、積み荷は何だ」
「これを」
俺はジジイに渡された紙を衛兵に渡した。こういう運搬系のクエストで良くあるように俺達は道中荷物を開けないように言われていたため、事前にジジイから衛兵への説明書きを渡されていたのだ。
「何々……山菜だと? こんな匂いのする山菜なんてあるのか?」
ブツブツと衛兵が文句を言うが、そんなことを言われても俺は知らねーよ!
「まあ、ルールだから調べさせて貰うぞ」
そう言うと、衛兵は積み荷の一つを開け始めた。まあ、ルールなら仕方がないというか、別に俺としては積み荷がどうなろうと──
「な、何だ、これは!」
は?
「これは禁制品のイシナラじゃないか!」
禁制品? 何を言ってるんだ、コイツ……
(イシナラってどんな薬草だっけ?)
自慢じゃないが、薬草には詳しくない。そのため、ことの重要性が理解できず、俺の対応は遅れた。
ピィィィ!
辺りに警笛が鳴り響く。すると、あちらこちらから衛兵が集まって来た!
(これ、やばいな)
こうなると流石に先の展開が予測出来る。くそっ、はめられたか!
「お前達は連行する! 武器を捨てろ!」
衛兵達は囚人用の手錠を持って俺達に近づいてくる。あんなものを付けられるのはごめんだが、逆らったら面倒くさいことに……
「ちょっと、触らないでよ!」
エスメラルダが衛兵を振り払うと、周りにいた衛兵達がバタバタと倒れる。衛兵といってもLvは一般人とLvは大差ないからこれは当然……って違う!
「だが、くそっ! もう手遅れか……」
衛兵達は“冒険者が暴れてるぞ”などと喚き始めている。もはや言い訳は出来そうにないな。
「どうするんだ、アバロン……」
不安気な顔でバルザスが聞いてくる。
(って、こうなったら一つしかないだろーが!)
俺は衛兵をなぎ倒しながら行者台に乗り込んだ。
「おい、早く乗れ!」
バルザスはようやく何をするのかを理解したようで、ノロノロと動き始める。分かっているとはいえ、その遅さには舌打ちをせざるを得ない……
(ほんと、お前は魔物の攻撃に耐えることしか出来ないな……)
まあ、今はバルザスの無能さよりも逃げ切ることの方が大事だ。俺は奴が荷馬車に手をかけるのを確認すると同時に馬を走らせた!
※
<フェイ視点>
「お兄ちゃん、大丈夫だと思うけど無理しないで」
「分かった」
「ミアのこともよろしくね」
「まかせとけ」
もう何度目かも分からないくらい言われた言葉だが、俺は聞き流さずにちゃんと応えた。この言葉は俺にではなく、リィナ自身に言っているようなものだと分かっていたからだ。
「レイアさんにあんまり迷惑かけたらダメだからね」
これには流石に苦笑せざるを得なかったが、俺はしっかりと頷いた。
「フェイ、早いじゃないの」
時間通りに待ち合わせ場所にやって来たレイアはリィナと待っていた俺を見て少し驚いた。いや、本当は先にいることじゃなく、リィナもいたことに驚いたのかも知れないが。
「レイアさんも帰りは家によって下さいね、ご馳走しますから。今回のクエストはミアのためだし、少しでもお礼がしたいんです」
「そんなかしこまらなくてもいいけど、喜んでご馳走になるわ。リィナのお料理は美味しいし」
師匠を探しに『朝霧の鉱山』に入った時リィナのお弁当を食べて以来、レイアはすっかりファンになったらしい。
「そう言ってもらえると腕の振るいがいがありますね!」
リィナも嬉しそうだ。何やかんやでこの二人も距離が縮まりつつあるな。
「楽しみも出来たし、ちゃっちゃと行って、バッチリ聖石を見つけるわよ!」
そう言ってレイアは歩き出すが……途中までは乗り合い馬車だぞ〜!
いよいよ新ダンジョンへ! 次話も明日の朝7時に投稿します!
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