いいから書け。
さて、前回までの流れで、書き続けることで逆お気に入りを増やすことが出来たんじゃないか、という話まで来ました。
ここから後は、その次の段階。
どうやって書籍化作品を生み出すか。
結論から言えば、運なのですが。
ええと、すみません、それだけだと誤解を招きそうなので、別の言い方をします。
人事を尽くして天命を待つ。
これです。
この言い方なら角は立たないんじゃないでしょうか。
つまり、やることをやって、後は運に任せろってことなんですが。
この『やることをやって』というのが難しい。
何をどこまでやったら『やることをやった』と言えるのか。
多分、わかる人は一握りの天才だと思います。
言うまでもなく、私なんぞにはわかりません。
一応、一つの目安らしきものはあるんですけどね。
俗に『四百万字書いたら書籍化出来る』なんてお話がありまして。
実際、私が『悪役退屈令嬢』にコミカライズのお話をいただいたのが大体三百万字を書いた前後くらい。
『人質姫』と『肉と酒を好む~』にお話をいただいた時で四百万字いったかなくらい。
なので、私の場合はこの俗説が当てはまってることになります。
もちろん例外はいますし、一作目からお話があった人もいるかとは思いますが。
私の知り合いですと、鹿条シキさんという方が書かれた『眠れる森の悪魔』という作品が初めての小説で書籍化しますね。
もっとも、この作品の場合はいきなり二百七十万字とかいってるわけですが。
二年ちょっとでこの文字数、一年あたり百万字越え。
しかも、途中で休養期間とかあってですからねぇ……。
やっぱりいきなり書籍化するような人は何かが違います。
もちろん内容もとても面白く、特に世界設定や魔法の設定はかなり独自性が強いです。
いえ、一番独自性が強いのはキャラクター達なんですが……社会性を後付けされたサイコパスだらけっていう。
はまれば登場キャラクター達と一緒にゲラゲラ笑いながら読めるのですが、読み終わった後にそれでいいのかと自問自答したくなる作品でもあります。
個人的にはとてもお勧めなので、是非ご一読を!!
とまあ、知り合いの宣伝はここまでにしまして。
『やること』として百万字単位で書く、というのは上げられるかと思います。
というか、書けておいた方がいいんじゃないかと。
何しろ書籍化したらそれで終わりというわけではありません。
今のご時世、一冊でドカンと売れて一生食べていけるなんてケースは本当に稀。
年間数冊コンスタントに出せないと専業小説家は難しいわけです。
いえ、それだけ出してる方ですら兼業なことが多いくらいじゃないでしょうか。
で、一冊十五万字として六冊出すなら九十万字。
更に改稿だなんだで十万字書いて百万字。
途方もない数字だと思いますか?
それとも、自分のペースならこれくらいの期間で書けるなとイメージ出来ますか?
多分、イメージ出来る人の方が長く続けられるのではないかと思うんですよね。
そして、長く続けられると、その分書籍化の可能性は上がるんじゃないかと。
もうちょっと言うなら、十万字から十五万字を大体どのくらいで書けるか、も把握しておくと良いんじゃないかと思います。
コンテストに応募するためにいつから書き始めたら間に合うかの目安になりますし、続刊用の初稿いつまでに上げられますか? という質問が編集さんからあったりもしますので。
後まあ、こないだ某SNSで『web小説書いてる奴なんか十万字書くのにどれくらいかかるかわかったもんじゃない』的な発言を見かけましたので『いや一か月から二か月で書けますけど?』とか返せるようになります。完全に余談ですが。
いえ、こういうこと言ってる人はweb小説書いてる人をバカにしてるので、端から相手にしない方がいいのでしょうけども。
話戻しまして。
『やること』の一つに四百万字書く、もしくは百万字単位で書く、というのが考えられるのはおわかりいただけたかと思います。ご納得いただけるかはわかりませんが。
例外な方もたくさんいらっしゃいまし。
しかし、何も考えずただ四百万字書くのも違うとは思います。
いや、何も考えずに書けたらそれはそれで凄いのですが……。
色々試行錯誤しながら書くのがやはり肝心。
その中には、『書いてなかったものに手を出してみる』というのも含まれるかと思います。
これが、前回言いました『考えた結果』でございまして。
それまで百合ものばかり書いていた私でしたが、男女ものに手を出してみたのですね。
と言いますのも、私、百合ばかり書いておりましたが、基本的には男性も出てくる話がほとんどでございまして。
『転生したのに~』はほとんど出ませんでしたが、それでも男もいる世界。
『暗殺少女』ではボブじいさんやリオハルト、『悪役退屈令嬢』ではギュンターやジークフリートといった男性キャラが好評をいただいておりました。
ジークフリートなんて「普通に応援したい王子様だから困る」とか言われましたしね。
とまあ、男性キャラの方も魅力があると思っていただけるように書けていたようでございまして。
ある時ふと思ったのですね。
『男女もの書いてみたらどんな反応があるんだろう』と。
何しろ百合ものを書いていて書籍化まで届かない、しかし後一歩くらいの筆力はあるんじゃないかと思えるくらいのポイントはいただけているわけです。
そして、個人的な思いはともかく、客観的に見ればやはり男女ものの方が読者さんは多いわけで。
じゃあそこに私の男女ものを放り込んでみたらどうなるのか、と。
幸か不幸か前述の通り、私の作品を読んでくださってる方々は男性キャラもただ男性というだけでは嫌わずにいてくださっているわけですし。
折しも『小説家になろう』では異世界恋愛ブーム。
特に短編はランキングをもの凄い勢いで席巻しておりました。
試しに投稿してみるには丁度良いタイミングというのもありまして、投稿したわけです。
それが、『「まったくあの女は、家の力を使ってばかりで!」「いやまて、それおかしくね?」』という作品。
……伸びました。
びっくりする程伸びました。
当時まだ異世界転生恋愛が異世界恋愛と別カテゴリにされていたにも関わらず、最高で日間総合五位。一番多い日のPVが15,000越え。
ポイントは当時であっさり20,000ポイント越え。一番多かった『転生したのに~』の二倍にさくっといきました。
びびりました。
まさに、桁が違う。
それまで百合の短編で一番伸びたのが『無責任令嬢』の2,000ポイントだったので、その十倍。
こうも違うものかと、愕然としましたね……。
しかも男性主人公、悪役令嬢ものベースだけど主人公は王子様ではなく公爵令息ですらない、その脇を固める伯爵令息。お話も、どちらかと言えば男の子達の友情物語がメイン。
こんな変化球でも伸びたことに驚いてしまいました。
その後もちまちまとどちらかと言えばネタ優先な変化球気味の短編を投稿しまくりましたが、複数の作品で10,000から20,000を越えるポイントをいただいたり。
いや、趣味走り過ぎたのはそこまで行かないのはありましたが……それでも5,000ポイントとかいってたりしますし。
意外と懐深いな異世界恋愛、と思ったものです。
あ、逆お気に入りさんの懐が深いのはわかっていたつもりです。
いつもありがとうございます。
書いてるうちに思いました。
『書きたいものと書けるもの、読まれるものは違う』というのはこういうことか、と。
私の場合、幸いにして書けるものと読まれるものがある程度一致しているようでしたけども。
いや、男女ものだって、書きたいと思ったから書いたわけですけども。
こう、百合ものとの伸びの違いを見ると、複雑なものはございました。
とはいえ、その間に百合ものである『「愛することはない」と言われましても、そもそもその必要はございません。』が10,000ポイントを越え、後にコミカライズのお話をいただいたりしてましたし、他にも5,000~10,000ポイント越えたりしたので、百合がまったく読まれないわけでもないのですが。
また、普段百合を読まない方の目に触れるようにもなって、『百合も意外といけるかも』みたいな嬉しいお声をいただくこともありましたし、異世界恋愛で百合短編を投稿する意義もあったんじゃないかと自惚れたりもしたりしつつ。
こんなことを考えられるようになったのは、やはり読んでいただけるから。
人目につくようになったから、と言えましょう。
そして、どうして人目につくようになったかと言えば、数年かけてコツコツ逆お気に入りさんを増やしてきたから。
読まれるように工夫しながら、時に休んだりもしつつ、書いてきたからだと思うのです。
そして、人目につくようになるとわかります。
意外と色んな作品を求めている読者さんはいるのだな、と。
ちょっと時系列がずれますが……例えば、ジャンル:ヒューマンドラマで悲劇な短編を書きましたが、10,000ポイント越えることが出来ました。これも間違いなく、初動でポイントを入れてくださった方々のおかげで人目につくところにいけたからだと思います。
全くテンプレ的じゃない作品だって、意外と読んでいただけました。
『女商人は、倍給傭兵にだけ夜を売る』という作品は、主人公が女酒保商人、相手役が傭兵、舞台は戦場の近くにある宿営地、という華やかさの欠片もないお話でしたが、5,000ポイントを越えることが出来ました。
好き勝手に趣味走った話を書いてもそれなりかそれ以上に読んでいただける。
数年かけて下地を作った結果、そんな状況が出来たのだと思います。
そして、そんな執筆活動を続けていたところで、ついに書籍化のお声がけをいただくことになりました。
これにつきましては、次回に書こうと思います。
今回は、これにて。
またお読みいただければ幸いです。




