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滝夜叉姫と真緋(あけ)の怪談草紙  作者: 名無し
第一章 真緋の怪談草紙の段
122/148

星天大戦27

ミリアがそう告げるや、目には見えない十三階段の呪いが黒い聖母に襲い掛かる。


光流達の見下ろす先で、何度も傷付いた自身の身体の再生を試みるが、再生が完了しそうになると途端にまた肉体が崩壊し、元の傷だらけのーーー再生前の姿に戻ってしまう黒い聖母。


(ある意味では本当に最凶の能力かもしれないな・・・)


崩壊と再生を繰り返す聖母を見つめながら、光流がそんな事を考えていると、やはり隣で聖母を見下ろしていた華恵が彼に声をかけてくる。


「光流くん?それで、この後は如何するんです?」


彼女の言葉に困惑し、逡巡する素振りを見せる光流。


「問題はそれなんだよな・・・」


そんな光流の様子に、楓は思わず大きな声を上げる。


「え~?!まさか光流くん、何も考えてなかったの?!」


「違う。そういうんじゃないんだ」


彼女の言葉を即座に否定する光流。


光流とて、別段何も考えず、ただ手をこまねいて黒い聖母が十三階段の呪いにもがく様を見ていた訳ではない。


寧ろ、光流も理解をしてはいたのだーーーあの十三階段の無限の呪いも、黒い聖母をずっと拘束出来るものではない、と。


現に、あの聖母は、階下にある十三階段に居るというのに、巨大な口のその恐るべき吸引力を以て、鳥籠から魂を吸い込み、少しずつ再生を終え始めているのだ。


恐らく、あの鳥籠が空になった瞬間、聖母の再生も全て終わり、十三階段の呪縛を打ち破ると同時、再び光流達目掛けて襲い掛かって来るだろう。


だからこそ、光流は彼なりに考えてはいたのだ。


如何したらあの聖母となった悪神を倒せるか、を。


だが、見つからないのだ。


奴を倒し得る有効な手段が。


「水や炎じゃ跳ね返されるし・・・そうだ!徳永の重力!・・・いや、それもさっき跳ね返されたじゃないか・・・」


完全に行き詰まり、頭を抱える光流。


すると、光流の隣で、彼と同じく悪神を倒す手段を黙って模索していた玲が、ふと口を開いた。


「例えば、幾ら再生を繰り返す悪神でも、二度と再生出来ない位核を粉々に砕かれたら、消滅するしかないんじゃないかな?」


彼の言葉を聞いた楓や華恵はその顔にはっとした表情を浮かべる。


しかし、光流は相変わらず渋い表情を浮かべたまま返した。


「確かに核を壊せたら、あいつも消えるかもしれませんが・・・でも、じゃぁ、如何やって核まで僕達の攻撃を届かせるんです?」


そうーーー実は光流も、核を壊すことは考えた。


けれど、あの全てを吸い込み、全てを反射する口を攻略し、核まで攻撃を届かせる・・・肝心のその方法が思い付かないのである。


すると、玲はそんな光流に向かって微笑み、わしゃわしゃと彼の頭を撫でながら、告げた。


「簡単だよ。雲外鏡と叶さん、それに葉麗ちゃんの力を借りるんだ。おっと、それに美稲ちゃんのも、ね」


雲外鏡や叶だけなら分かるが、何故一般人である美稲と、自ら戦闘能力等無いと称する葉麗の力を借りる必要があるのか。


というかそもそも、美稲は何やらやりたい事があると言って朧の鍛冶場に引きこもり、作戦会議への出席はおろか、この場について来ることすらしていないのである。


ならば、一体如何やって、この場に来ていない人間から力を借りるというのか。


玲の言葉に、その真意を図りかね、光流は頭を捻る。


と、その時


「おぉーいー!皆ー!お待たせなんだよー!」


光流達の頭上の空ーーーその遥か上空から、この場には居ない筈の美稲の声が響き渡った。

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