八話
「あんた……。何やってるのよ……」
ああ……。
なんだろうこの感覚は?
ブチギレ顔の人間に向けられる冷たい視線か。
久し振りだな。
「ご……誤解なんだけどぉ」
「誤解ねぇ……」
腕を組んで睨みつけてくるカーラに……一応説明はしてみよう。勿論、全力で。
だって、俺にとっては、言い訳を聞いてくれること自体が稀有ですからね。
「本当だって! ただ、生きてるか確認しただけなんだって!」
若干、胸をもんだのは本当なんだけど……。
それは黙っておこう。
だって! ナイフ怖いもの!
「まぁ、カーラさん。実際に化け物を倒してますし……」
「アニスがそう言うなら……。ただ次からは、女性の胸は相手の許可とってからにしなさいよ! 私まで変な目で見られたら! あんたの目玉をえぐり出すわよ!」
ええぇぇ……。
自分の名誉を守る為なら、俺の目玉を犠牲にしてもぉ?
ここに頭がおかしい人がいます!
てか、言う事がいちいち怖いんですけど!
まあ、それはいつもの事として……。
俺に許可を出してくれる女性なんて、一生現れないんじゃないかなぁ。
やってらんね~……。
命をすくったらそれくらいの役得あっても……。
「何? なんか不満でも?」
目を細めたカーラは、ナイフに手を……。
「いえ、全く異存は御座いません」
「そう……。私達は買い物に行ってくるから、その間も変なことするんじゃないわよ。いいわね? 次に何かすれば覚悟しなさいねぇ」
最後の駄目押し付きですか。そうですか……。
「ハァ……イッテラッタイマテ……」
****
はぁぁぁぁ。なんで、こんなに窮屈なの?
こいつ怪我で動けなるか、国に帰ってくれないかなぁ。
頭を下げ過ぎて、なんだか惨めになってくる。
あ! 怒られ過ぎて、軟体動物から回収した魔法石の事、喋りそびれた。
ああ……。もう……。何もうまくいかないぃ。
あそこで我慢さえ出来ていれば、アミラちゃんとうまくいったかもしれないのに……。
その上、カーラに脅される事もなかったし……。
『お前はいつか、煩悩で身を滅ぼしそうじゃなぁ』
う……。今は否定できない……。
でも、死ねジジィ……。
『まずその性格を直せ、そして死ねクソガキ……』
はぁ……。
あと望みがありそうなのは、アニスちゃんとイリアさんくらいか?
『イリアといえば、あの秘書か? 無理じゃろう……。それよりもカーラのほうが……』
あのプライドと殺意の塊の事ですかぁ?
それこそ無理だ! 口説く前に、殺されてしまうわっ!
イリアさんも希望はすげぇ薄いけど、ゼロじゃない事と、俺を殺そうとしてこない分マシだと思うんだよねぇ。
『お前の選定基準を聞いてると……。こっちが泣きそうになってくるのぉ』
俺には、何時彼女が出来るんだろう?
もうすぐ成人だから、なんとかそれまでには……。
『ん? そういえば、今の時代は十八歳で成人だったか? わしの時代は十……』
貴様のカビの生えた時代の話など、どうでもいい!
今を生きる俺が、成人するまでに彼女が出来るかが問題なんだ!
『この……。お前は毎回、毎回……。ふん! 一生無理じゃ!』
はは……。
死ねよ、ジジィ。後、神様……。
『お前が死ね……』
****
ジジィと不毛な会話しながら評議会を歩いていると、扉の奥からネロの声が聞こえてきた。
「あんな変態に助けられるなど、このネロ……。一生の不覚だ! 敵との相性が悪かっとはいえ……。ぐう! ダメージを受けたこと自体! 四将軍としてあってはならぬ事!」
大声で怒り狂っているな。
人を変態呼ばわりする前に、修練でもしてろ。雑魚が……。
てか、ムカつくからなんか、恥ずかしい目にあってしまえ。
自分で洗面器に顔をつけて、窒息しかかるとか。
おっ? 前方から来るのはイリアさん。
俺は急いで聞き耳を止め、通路を歩き出した。
大量で顔が隠れるほどの資料を、持って歩いて来てるな。
モデルウォーキングを崩してないのは、ある意味プロだ。
でも。さすがにあの量は無理しすぎだろう。
「手伝いましょうか?」
俺は、イリアさんに声をかける。
「結構です……」
冷た!
なんか突き放すような喋り方をする人だな……。
てっ! 言ってるそばからバランスを崩した!
俺は素早く前に回り込み、傾いた資料を支える。
「やっぱり手伝いますよ……」
「あ……、じゃあ、少しだけ……」
おお? 頬が少し赤くなった。
もしかして、自己表現があまりうまくないだけの人か?
なら! 俺にも望みが!
『普通、マスク付けた妖しい男を好きになる女は、少ないと思うが……』
お黙ってなさい! クソジジィ!
****
俺は資料を半分持ち、イリアさんの部屋へ付いて行った。
イリアさんの……多分書斎は、モンスターや魔族の資料が、乱雑に散らばっていた。
もしかして、イリアさんって掃除苦手?
『まあ、完璧な人間などそうはおらん』
あれ? おかしい事、書いてあるな。
俺は指定された机に資料を置き、その机の上に開かれたままの本の内容について、間違っていると指摘した。
実はルナリスが俺の元の母国語だから、得意なんだけよね。
「あのぉぉ、このピュトンの記述ですが、間違ってませんか?」
「えっ?」
「ピュトンは毒を確かに吐き出しますが、麻痺毒で致死性の毒じゃないですよ? レベル上位でも、変わらないはずです」
「そうなの? 何故知っているの?」
「俺も文献を読んでますし、実際に戦いましたから……」
おおぅ?
イリアさんが、俺を凝視してくる。
何? 何? 俺なんか変な事言った?
「もしよければなんだけど、夜の巡回まで手伝ってはもらえないかしら……」
「えっ? 時間があるので構わないんですけど、何をするんです?」
「この集めた資料から、魔法生物の糸口を掴みたいの」
「なるほど……。それなら協力します」
「助かるわ。あなたは他国の文献を読んでいるようだし、実際に魔法生物を見てるから……」
「いえ、これくらいなら……」
ジジィも手伝え。
『構わんが、強制されるのが腹立つのぉ……』
いいじゃん!
****
午前中の間、俺はイリアさんと文献の確認をした。
イリアさんは国外にあまり出た事がないそうで、モンスターの知識が少なかった。
逆に俺は魔族との戦闘経験が少ないので、イリアさんから情報をもらった。
このルナリスもアルティアと同じように魔族の帝国と領土が隣接しており、アルティアのように樹海で守られていないので、一番魔族との戦闘が多い国だ。
つまり、魔族の情報はルナリスが一番保有している。
俺達二人と寄生生物一匹は、お互いに足りない情報を埋めあって、資料を整理していく。
一応、出来る限りはやってみた。
しかし、ベースになったモンスターすら、絞り込めない。
やはり独自に誰かが製造した生物だろうか?
ジジィ曰くあの魔法石はかなりの純度で、普通の魔導師では作れないらしいし……。
「駄目ですねぇ」
「そうね」
「魔法生物の資料は、ないんですか?」
「この国でも製造は禁止されているのよ。資料はないわ」
「う~ん……」
「でも、あなたのおかげで、はかどったわ。ここの資料では無理だと分かったもの。ありがとう」
うおおおおおお! 笑うと超美人!
もう! あの! 結婚したい!
「いえ……。暇ですし」
「謙虚なのねぇ。私の中での貴方の印象が、すごく変わったわ」
「はい?」
「最初は傭兵だし、アミラからの話もあって、ただの粗暴な男性だと思ってた。でも、違うようね」
ほめられた!
なんか、興奮して鼻血が出そう。
この人、オーラや喋り方まで美人過ぎる。
「照れるなんて、可愛いところもあるみたいだし……」
「あ……いや……」
「うふふっ……」
うわぁぁぁ……。
下心と言うよりも、なんかほめられて凄く純粋にうれしい。
なんか、憧れのおねえさんに、褒められたって感じか?
や……やべぇ。なんかマジで照れる……。
俺が耳まで赤くしていると、突然部屋の扉が乱暴に開かれた。
「あ! いた!」
部屋に入って来たのカーラだ……痛い痛い痛い!
「いきなり耳を引っ張るな! 痛い!」
「あんたはこんなところで何してるのよ!」
「イリアさんの仕事を手伝ってるんだよ!」
「はぁ? そんなに鼻の下伸ばして? また、エッチな事考えてたんじゃないの?」
イリアさんの前で! 何言うの! この子!
「鼻の下なんか伸ばしてないし! まず、カーラはノックする事覚えろよ!」
「何よ! 文句でも?」
「いえ……。何でもございません……」
もぉぉぉぉ、すぐナイフ出すぅぅ。
この子、絶対頭おかしいから……。
「うふふ……。ヘイルくんは本当に手伝ってくれていたんですよ、カーラ姫様」
イリアさんのその言葉で、カーラはナイフをしまった。
ありがとう、イリアさん。
そして、死ねカーラ!
「イリアがそう言うなら仕方ないわ。お昼に行くわよ。ついてきなさい!」
俺は、チラリとイリアさんを見た。
「うふふ……。いってらっしゃい」
おう、さすがにこれは止めてはくれないか……。
俺はカーラに耳を引っ張られる形で、イリアさんの部屋を出る。
****
俺が出たすぐ後に、その部屋へアニスちゃんが入っていくのが、遠目で見えた。
「うふふ……」
「あれ? イリアさんも気が付いた?」
「ええ……。あそこまであからさまなジェラシーも、あまり見た事ないわね」
「うん。あの誰にでも近づいてくるなって雰囲気を出してたカーラさんが、あんなになるなんて……」
「そう言えば……。ルナリスで始めて会った時は、妹さん以外に体を触れられたら怒ってましたよね」
「そうだったよね。それがあれだもん……」
「ただ、ヘイル君は本気で気が付いていないようですね」
「あの方は、本当に純粋な人のようですから……」
「あら? アニスまで加わると三角関係になるんじゃない?」
「そっ! そんなのじゃないです。ただ……」
「ただ?」
「何か人を引き付ける魅力のある方では……あるなと思いますが……」
「うふふ……」
****
午後から俺は、何故かカーラに町中を引き摺りまわされた。
俺は、買い物なんてしないって言っても聞いてくれなかったんだぁ……。
日が沈み、俺とカーラはルナリスの西地区を巡回することになった。
敵が強かったこともあり、四将軍に加え、俺とカーラ以外にもイリアさんとアニスちゃんが巡回に加わる事になった。
その実力者二人一組に警備兵十人をつけて、巡回することになったのだ。
その日、俺は魔剣の新たな使い方を覚えることになる。
出来れば、そう言った機会には遭遇したくなかったが……。
「あの店のスープなかなかよかったわね」
「まあ、あれだけ高ければ当然じゃないか?」
「たった三千ギリよ? 明日も行きましょうよ! 魚のムニエルも食べてみたいし」
「はぁ……」
「なに? 不満でも?」
いちいちナイフに手をかけるな! この殺人鬼が!
「いえ、行きたいです」
「じゃあ、決まりね!」
こいつと結婚する奴は、多分一週間以内に殺されるだろうな。
よく考えなくても……怖いんですけど……。
こんなに殺気バンバン飛ばせるなら、評議長の気当たりも弾き返せよなぁ。
とっ……。来たな……。
起きろ! ジジィ!
『うむ。今日はこちらの方向で正解のようじゃな……』
ああ……。
でも、これは……。
『移動速度が尋常ではないのう……』
「おい!」
「な! なに?」
「来るぞ! そっちも準備しろ!」
俺はカーラと警備兵に、注意を促す。
こっちに真っすぐ向かってきている。
どこだ? やっぱり、魔法生物の気配は知覚し難い!
うん? しまった!
「上だ!」
俺の声にカーラだけが反応し、横に飛びのいた。
警備兵はその場に全員が倒れ込んだ。
『厄介じゃな……』
ああ、鳥型か……。
空中には足が一本で、全身の毛が逆立ったような、鳥型魔法生物が旋回していた。
そいつは、羽根に乗せて雷撃を放ってきやがったらしい。
兵士はそれで全員戦闘不能だ。
「私が狙うわ!」
「分かった! 俺は剣の衝撃波で追い込む!」
確かにこの場合、俺の衝撃波よりも速度の速いカーラの矢のほうが有効だろう。
俺は〈ホークスラッシュ〉で、鳥をカーラの射程に追い込む。
カーラが三つ同時につがえた矢を放つ。
直撃コース! うん?
「そんな……」
くそっ……。
雷撃で矢が、全部叩き落されちまった。
俺の衝撃波は落とせないようだが、実態のある矢は落とせるのか……。
「来るぞ! ぎりぎりでは回避するなよ! 放電範囲がまだつかめてない!」
鳥野郎は、反撃とばかりに雷撃を放ってくる。
距離があるので回避はできるが……。
どう倒す?
「さっきとは逆に、私が追いこむわ!」
「あ! おい!」
カーラは雨どいに手をかけて、軽やかな動きで屋根の上へ移動し、矢を連射しはじめた。
馬鹿!
矢は落とせるから、追いこむのには向いてないんだよ!
案の定、矢をすべて迎撃されたカーラは、雷撃をかすめられて体勢を崩し、屋根から落下してきた。
雷撃はかするだけでも、少しの間動けなくなる。
俺は、カーラをキャッチして地面に寝かせる。
「無茶する姫さんだよ……」
『しかし、収穫はあったのぉ』
無謀なカーラの働きは、無駄にはならなかった。
奴の動きが、観察できた。
敵は雷撃を放つときに、空中で数秒間動きを止める。
俺は屋根に跳び上がり、屋根伝いに高速移動を始めた。
勿論、撹乱の為にジグザクに動く事は忘れていない。
反応できない速度で近寄られた為、鳥野郎は焦りを見せた。
よし! 敵は俺をめがけて、雷撃を連射してきた!
雷を纏った羽は、俺の残像を貫くが、トンネルの裏に隠れた本体にはかすりもしない。
いまだ! <ホークスラッシュ>
相手の雷撃が止みきる前に、安全圏から飛び出した俺は、衝撃波を放つ。
雷撃を避けながら放った為、相手を倒すまでには至らなかったが、足の付け根から翼にかけて切り裂く事が出来た。
鳥はそのまま地面に激突して、ぴくぴくと痙攣している。
もうこいつに、戦闘続行は無理だろう。
「ふぅぅ。終わりっと」
『本当にお前は戦闘だけは、いい動きをするのぉ……』
戦闘だけってなんだよ!
『少なくとも女性に対する対応は赤点じゃ』
ぐっ!
「うう……」
カーラがよろよろと立ちあがってきている。
倒れそうなカーラに、俺は肩を貸した。
「無理するなよ。もう、片付いたって」
「すまない……」
「いや、カーラのおかげで行動パターンが、予測できたから助かったよ」
ん?
一瞬珍しく笑顔になったのに、すぐに顔をそらした。
あれ? 耳まで真っ赤になってる。
笑う事すら恥ずかしいって、どれだけプライド高いんだよ。こいつ……。
『お前は……本当に……』
ん?
『止めはまだじゃったな……』
まあ、もうあの状態で反撃されても怖くないし、さっさと済ますか。
『まあ、お前なら問題ないじゃろう』
鳥野郎は羽をばたつかせながら、無理やり上体を起こし始めていた。
「危ない!」
はぁ!?
俺は、カーラに突き飛ばされ、体勢を崩した。
鳥の雷撃を乗せた羽根が、カーラの胸部を貫通してしまう。
嘘……だろ? 馬鹿野郎!
俺は崩れた体勢から、無理矢理衝撃波を放ち、敵を両断した。
そして、片腕を突いてカーラに駆け寄って、抱き上げる。
「カーラ! カーラ! なんて事を……」
「ぶ……じで……よかった……」
カーラは、そのまま意識を失った。
心臓には直撃していないが、動脈が切れたのか? 血が止まらない!
傷口の服を破いてみると、五センチ近くある大きな傷口から、血が肺の空気と共にコポコポと流れ出してきている。
医者じゃない俺では、こんな重症の処置など出来ない。
俺の油断のせいだ! くそっ!
先に止めを刺すべきだった!
ああ……。鮮血が止まらない!
どうすりゃいいんだ!
『落ち着け! 手段はあるぞ!』
本当か!? ジジィ!
どうするんだ? 早く!
『回復の純粋な魔力を、お前の体内に可能な限りわしが生成する。お前はそれを傷口に投与するんじゃ!』
わかった! なんでもいいから早くしてくれ!
『目を瞑り集中して、お前自身が魔力を一点集中しろ! 外に出しやすい場所を自分で選んで、このお嬢ちゃんに流し込むんじゃ!』
目を閉じた俺は、体内で溜まっていく魔力に集中する。
俺はその魔力を、直感で口に集約していく。
なんとなくだが、口からなら外に出しやすそうだと思えたからだ。
『いまじゃ!』
俺は傷口に直接口をつけ、魔力を放出する。
シュウウっと音と湯気を出しながら、みるみるカーラの怪我が治っていく。
これでいいのか?
怪我は消えたけど……。
『血を失い過ぎて、完全回復は出来ておらんが命に別条はあるまい。咄嗟にしては、よくやった。心臓からそれていたのが幸いしたのぉ。心臓や脳を直撃すれば、この方法も有効ではないからな……』
よかったぁぁぁぁぁぁぁぁ。
マジで、無茶するお姫様だよ。
下僕扱いの俺に、命なんて掛けるなっての。
はぁぁぁぁ……。
****
「なるほど……。アミラの言っている意味が、分かったような気がするわ」
カーラの胸元から俺が顔を上げると、そこにはイリアさんとアレンが立っていた。
イリアさんが警備兵に指示を出し、負傷している警備兵とカーラを病院へと搬送する準備を進めてくれる。
でも、アミラの言ってた事って?
何の事だろう?
俺は、鳥から何時も通り魔法石を回収すると、イリアさんに近づく……。
あれ? なんだか目線が凍りつくように冷たい。
始めて会った時の、何倍も冷たい。
なんで?
俺今回は変なことしてないよ?
「貴方には、常習的な痴漢の癖があるようね」
はい?
「雷撃で動けないカーラ姫の胸に、顔を埋めるなんて……」
はいぃぃぃぃ?
ちがっ!
「姫の胸元も破いているし……。悪人ではないけど、男としては最低ね」
そう言うとイリアさんは、その場を立ち去って行った。
ああああああああああ……。
確かに、魔力を吹きつけた後だけを見れば、傷が無くなって……。
あ! 血! 大量の血は?
『傷がない以上、敵の返り血……と考えるじゃろうなぁ』
うっそぉぉぉぉぉぉ!
今回! 下心無かったよぉぉぉぉ!!
『流石に今回は不憫じゃな……。いや、今回も……か?』
ジジィ!
フォローの説明をイリアさんに!
『魔剣の能力で出来ん事もないが……。魔力をお嬢ちゃんの回復に消費し過ぎて、今は無理じゃな』
もぉぉぉ! 役立たず!
『まぁ……。信頼の元は、日ごろの行いかのぉ……』
あああああああああ!
なんじゃこれ! 勘弁しろよ!
濡れ衣だぁぁぁぁぁぁ!
歯が全部折れるまで、ビンタし続けるぞ! 神様よぉぉぉ!
もしくは傷口に辛子とワサビすりこむぞ! ちくしょう!
もぉ~!
何でこんな事になるんだよ!
ああぁぁぁ……。
やってらんね~……。




